前回は、ホームパーティーに食物アレルギーの方をゲストとして迎える際の注意点を紹介しました。

 「少量なら食べても大丈夫…」という疾患ではありません。さまざまな工夫や注意が必要であることが理解できたかと思います。食物アレルギーの方々の食生活についての理解をさらに深めるために、見落としがちなアレルゲン混入のきっかけや注意点、工夫などを紹介していきます。

事例1)原材料表示の最後に…

 アレルゲンを含まない食材を使用した料理を食べていたにもかかわらず、食後息苦しくなるなどのアレルギー症状が出現。料理に使用した調味料の一部に、アレルゲンとなる小麦が使用されていた。

<対策>
 食材に使用していなくても、調味料の原材料の一部にアレルゲンが複数含まれることがある。また、原材料表記は「…調味料(アミノ酸等)、酸化防止剤(ビタミンC)…(原材料の一部に乳成分、小麦、大豆含む)」と最後にアレルゲンが記載していることがあるので、原材料表示は最後まで確認が必要。

事例2)加工肉に含まれるアレルゲン

 焼肉屋に行き、アレルゲンとなる乳と卵を使用していないか店員に聞き、アレルゲンが入っていないことを確認した上で食べたところ、アレルギー症状が出てきた。原因は、焼肉店では成型肉を使用しており、成型肉には結着剤として牛乳由来成分を使用していたため、アレルギー症状が出てきた。

<対策>
 テイクアウトする際や、すでに調理された調理済みの総菜などを購入するときは、お店に成型肉を使用しているか、その際にどんな添加物(アレルゲン)が含まれてるか確認すること。店員があいまいな表現の時は、乳、卵、大豆などが含まれている可能性もあるので、控えておくこと。

事例3)料理を手伝ってもらうと…

 食物アレルギー(卵)をもつ中学生が料理を手伝いたいと申し出た。経口免疫療法で卵は食べられるようになったので、卵を割る工程がある料理は問題ないと思い、手伝わせところ、顔の皮膚症状が出現し、顔が腫れてしまった。卵を割ったり、混ぜていたりするときに、アレルゲンの卵を皮膚から吸入し、反応が出たと考えられる。

<対策>
 食べられるようになった食品でも触れただけで症状が出るケースがあるので、現在、または以前アレルゲンだった食品の調理の手伝いは控えさせること。もしくは、参加者にアレルギー対応料理を知らせる機会にもなるので、代替食品を利用して調理することも選択肢の1つ。

小中学校の調理実習でも課題

 現在、小中学校等の調理実習においても、食物アレルギーの生徒がいる場合にどのように対応していくかが課題となっています。ある小学校の家庭科の調理実習では、卵、乳、小麦アレルギーの子でも一緒に参加できる料理をクラス全員で話し合い、実習後、全員が試食。食物アレルギー対応料理の感想を共有し、生徒同士が理解を深めている取り組みを行っています。

 このように、さまざまな場所で食物アレルギーについて話し合う機会が増え、子どもたちが自主的にアレルゲン混入、アナフィラキシーショックを防ぐよう考え、働きかけできるようになることを望みます。

食卓を華やかに飾るイギリスの伝統料理「野菜たっぷりシェファーズパイ」
食卓を華やかに飾るイギリスの伝統料理「野菜たっぷりシェファーズパイ」

 今回は、集まりで食卓を華やかに飾るイギリスの伝統料理「野菜たっぷりシェファーズパイ」を紹介します。シェファーズパイは豚ひき肉とポテトの重ね焼き。今回はビタミンCが加熱しても残存率の高いジャガイモをふんだんに使用していますが、乾燥マッシュポテトを使用すると時短につながります。また、牛乳の代用で豆乳を使用していますが、大豆アレルギーの方はココナッツミルクやライスミルクなどを使用しましょう。

 もっと短時間に、早く仕上げたい方は、レトルトまたはご自身で冷凍されているミートソースを使うのもポイントです。マッシュポテトはお腹が満たされるので、肉とのバランスを調整してみてください。