健康やスポーツのパフォーマンスを維持するために欠かせないのが水分補給です。脂肪組織よりも除脂肪組織(筋肉、骨、血液、臓器など)の方が水分の含有量が多いため、除脂肪量の多い選手は体水分量も多くなります。

体水分量を維持するためには、運動時に汗などで失った量と同量の水分を補給することが基本です。とは言っても、失ってから補給したのでは遅く、そのときはすでに脱水しているのです。

そのため、普段から運動時の気温や運動する量や強度によって、どれくらい水分が必要になるかを把握しておくこと、運動前に必要な水分量を準備しておくことが大切です。用意しておいた水分を飲み切ってしまってから、「足りない、補給したくてもできない」ということがないようにしておきましょう。

運動前後で体重差がないように

水分補給量の目安は運動場所に体重計がある場合は、運動前後の体重を確認します。運動時の水分補給は、10分~20分ごとに50~200ml摂取できるのが理想ですが、補充する水分全体量によって1回あたりの摂取量と摂取頻度が変わります。練習中に多くの水分を摂取することに慣れていない場合、2~3週間かけて少しずつ水分量を増やしていきながら、運動開始時と終了時の体重差がなくなるように慣らしていきましょう。

体重計がない場合は運動中に、めまい 、立ちくらみ 、生あくび 、大量の発汗 、筋肉痛 、 筋肉のこむら返りのような症状がでていないか、尿の頻度や色・量がいつもと変わりないか、のどの渇きは起こっていないかを確認します。症状がでている場合はすぐに涼しいところで体を冷やしたり、水分補給したりしましょう。日頃から、このような症状がでないように水分補給したり、体温が上がりすぎたりしないようにしておきます。

汗とともに水分だけでなく、ナトリウムなどのミネラルも排出されます、また、糖質も使われますので、その分の補給が必要です。補給する糖質の目安濃度は8%以内、食塩は0.1~0.2%以内と言われています。例えば、1000ml(1ℓ)の水に対し、砂糖を80g、食塩を1~2g加えるというイメージです。

今回は、「梅シロップのミルクサワードリンク」を紹介します。この分量で作った梅シロップであれば、小さじ1杯に牛乳200mlを合わせると糖質濃度が約8%になります。水や炭酸水で割った場合も同様で、自家製スポーツドリンクにもなります。

運動などで汗をたくさんかくときは、水分と糖質やミネラルの補給をしっかり行いましょう。

参考文献:ダン・ベナードット著 寺田新訳 スポーツ栄養学ハンドブック 東京大学出版会 2021
厚生労働省 熱中症予防のための情報・資料サイト
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pamph.html

管理栄養士・田澤梓