旬の食材は安価で栄養価も高く、季節を感じられるので、料理したり、食べたりすることは食の楽しみの1つでもあります。すると、こんな疑問が生じませんか?

季節によって食べるものが異なれば、摂取エネルギーや栄養素にも違いがでてくるのでは?

そんなことを研究した報告がありました。国内の3地域に住む健康な男女を対象に、季節ごとに食品と栄養素の摂取量を調べたのです。

季節によって摂取エネルギーや栄養素に変化はあるのか

研究報告によると、男女ともに野菜類、果実類、緑黄色野菜、漬物で摂取量に違いがあり、特に女性では乳製品、男性では酒類で季節変動がありました。栄養素の摂取量においては、ほとんどの栄養素で季節によって違いがない中で、「鉄、ビタミンC、カロテン」に小さな季節変動が見られました。

具体的には、鉄、ビタミンC、カロテンともに四季の中で「冬」に数値が高くなっていました。鉄は春・夏・秋に比べて冬が多い、ビタミンCは春が一番低く、夏から高くなり秋・冬が多い、カロテンは春・夏・秋は低く、冬が多いという結果でした。ビタミンCやカロテンの季節変動は、秋冬に柿やミカンの摂取量が多くなるためと考えられます。

ビタミンCはコラーゲンの生成に関わる

ビタミンCは、皮膚、細胞、骨などの体の組織作りの材料となるコラーゲンの生成に関与しており、強い抗酸化力もあります。競技のシーズンオフとなり、体づくりに重点をおく選手には積極的にとってほしい栄養素です。

ビタミンCの摂取推奨量は男女とも12歳以上で1日100mgです。柿1個(100g)で70mg、ミカン1個(50g)2個で32mgのビタミンCが摂取できるので、それらを食事にプラスすると、1日の推奨量を軽くクリアできます。こらから旬を迎える果物を常備しておくと、手軽に摂取できますね。

ビタミンCは水溶性ビタミンで、体に貯めておくことはできず、必要量以外は尿から排泄されますが、一度に大量摂取すると嘔吐、下痢、食欲不振をはじめとする症状や、運動適応や筋肉適応を阻害することもあります。サプリメントや補助食品など、食品以外から1日で1g(1000mg)以上の摂取は推奨されていません。それよりも、ビタミンCを豊富に含む旬の食べ物から、栄養をとりましょう。

今回は、ビタミンCを補給できる柿を使った簡単メニューを紹介します。「柿とあんこチーズのホットサンド」です。

柿はそのまま食べてもおいしいですが、あんことクリームチーズと合わせて加熱すると、甘味が増します。補食や朝食の主食としても活用できます。

参考文献:
・佐々木敏 行動栄養学とはなにか?食べ物と健康をつなぐ見えない環を探る 女子栄養大学出版部 2023
・厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)

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管理栄養士:田澤梓