炭水化物は、人が消化することできない「食物繊維」と消化できる「糖質」に分けられ、エネルギー源になるのは「糖質」を指しています。その糖質も、糖類(糖)の結合している数によって、「単糖類」「二糖類」「多糖類」に分けることができます。

多糖類は単糖類が10個以上結合したもの

単糖類は炭水化物の最も基本になる形態・要素で、最少の単位のためそれ以上消化されることはありません。分解されることなくそのままの形で、体内では最も早く吸収されます。

一方、多糖類とはその名の通り、少なくとも10個以上と多くの単糖類が結合したもので、食品の中では「でんぷん」と呼ばれています。でんぷんを豊富に含む食品としては、米やトウモロコシなどの穀類があります。

でんぷんは調理すれば消化されやすくなる

でんぷんは、加工されていないそのままの状態では細胞壁の中に閉じ込められた状態になっており、消化酵素が細胞内に入り込めず、消化されづらい状況になっています。しかし、調理をすると細胞壁の内部の水分が膨張し、細胞壁がはじけることで、その中にある糖質を利用できる状態になります。

例えば、米は生のままでは食べづらいだけではなく、簡単に消化できない状態にありますが、加熱をすると食べやすくなり、内部にあるでんぷんも消化、吸収できるようになります。トウモロコシも通常は硬い果皮に包まれて消化しづらいものですが、加熱すると消化しやすくなります。また、すりつぶすなど加工してコーンクリームやコーンフレークの状態にすると、さらに消化が早まります。粒状のものよりもスムーズに早く、糖質補給ができるのです。

タイミングによって糖質を選び分ける

練習前後などすぐにエネルギー補給をしたいときは、糖質の中でも単糖類を中心に選ぶと良いでしょう。果物やエネルギーゼリー、エネルギードリンクなどです。

対して、消化に時間をかけられる普段の食事や、長くエネルギーを供給したいときはでんぷんを多く含むご飯やパンなどの主食やイモ類など、多糖類を中心にとると良いでしょう。調理する時に、それらの形状を細かくしたり、すりつぶしたりする方が消化は早まります。

今回は、でんぷんを消化しやすくするメニューとして「焼きおにぎりのシラス茶漬け」を紹介します。お茶漬けにすることで水分を含み、より消化しやすくなります。

このメニューでは市販の冷凍焼きおにぎりを使っているため調理時間が短くすみ、子どもでも作れる補食メニューとしても役立ちます。自宅で冷凍している余りご飯でもおいしく作れますし、水菜やシラスを加えることで、不足しがちなミネラルも補給できるように工夫しています。 

参考文献:ダンベナードット著 寺田新訳 スポーツ栄養ハンドブック 東京大学宇出版会 2021

管理栄養士・田澤梓