全身に酸素を運ぶ役割をするのは、赤血球中の「ヘモグロビン」というタンパク質です。筋肉中でヘモグロビンから酸素を受け取り、一時的に貯蔵する役割を持つのが「ミオグロビン」という色素タンパク質で、どちらも「鉄」を必要とします。

増量するために食事量や運動量を増やしている時や身長が伸びている時期など、筋肉量が増えていくと、ミオグロビンの量も増えるため、鉄の必要量も増えます。この時に鉄が不足すると、ヘモグロビンやミオグロビンを産生できず、全身に酸素を十分に運べなくなります。練習が思うようにできない、持久力が続かない、ふらつきやすい、集中力が続かないなど、貧血の症状が現れやすくなります。

増量期や成長期は、鉄の摂取量を多くしていきましょう。鉄を多く含む主な食材は次の通りです。

鉄を多く含む食材(1回使用量)の鉄の含有量

・豚レバー(60g)7.8mg
・輸入牛もも脂付き(100g)2.4mg
・マグロ赤身(80g)1.4mg
・厚揚げ(100g)2.6mg
・小松菜(80g)2.2mg
・アサリ水煮缶詰(20g)6.0mg
・キクラゲ(2g)0.7mg

鉄の摂取推奨量は非アスリートの15歳~17歳男子で1日10.0mg、女子(月経あり)で12.0mgです。アスリートはそれ以上の量を意識し、さらに汗を多くかいた時や筋肉量が多い選手は1日15~20mgを目安としてもよいでしょう。

今回は、鉄を多く含むキクラゲを使った「キクラゲとブロッコリーの豚肉中華炒め」を紹介します。鉄を摂取して、貧血予防に役立ててください。

参考文献:スポーツ栄養学ハンドブック ダン・ベナードット著 寺田新訳 東京大学出版会 2021
日本食品成分表2020版(八訂)文部科学省
日本人の食事摂取基準(2020年版)厚生労働省

管理栄養士・田澤梓