食物繊維は人体では消化できない炭水化物です。エネルギーにならないため、かつては不要なものとされていましたが、今では体の健康に深く関与する栄養素として、積極的に摂取するよう推奨されています。

食物繊維は腸の蠕動(ぜんどう)運動の促進、腸内環境の整備、食事の満足度の向上、有害物質の排泄といった効果があります。しかし、現代の食生活で食物繊維は不足しがちです。特に減量している場合は、食事量とともに食物繊維の摂取量も減るため、足りなくなりがちです。また、これから暑くなってくると、運動時に汗を多くかくことで脱水になり、便秘になる選手もいます。

野菜、キノコ、海藻、豆、イモ

運動をしていない人の1日における食物繊維の摂取目標量は、15歳~17歳で男性19g以上、女性は18g以上、18歳~29歳では男性21g以上、女性で18g以上となっています。毎食7g程度というのは意識しないとクリアできない数字ですので、食物繊維が豊富な野菜、キノコ、海藻、豆類、イモ類などを毎日摂取するように心がけましょう。

最も食べる量が多いご飯などの主食が、食物繊維が豊富なものだと効率よく摂取できます。白飯にはそれほど多く含まれていないので、玄米や胚芽精米、雑穀などを混ぜて炊くのがおすすめです。パンならライ麦パン、そばなら田舎そばなど色の濃いものは比較的、食物繊維が豊富です。

サラダで野菜を食べるときも、海藻や種実類を混ぜると食物繊維量が増えます。スポーツ選手は生野菜など、かさのあるものを多量に食べるとそれだけでおなかがいっぱいになり、エネルギーや栄養素の補給がおろそかになってしまうこともあるので、具の種類が多いサラダや主食を活用して、食物繊維を摂るようにすると良いでしょう。

今回は「昆布とシラス入り和風ブロッコリーサラダ」を紹介します。緑黄色野菜のブロッコリーに、昆布(海藻)、シラス(カルシウム)、刻んだクルミ(種実類)を加えたもので、これで食物繊維は5.4g(1人分)とれます。

参考文献:あたらしい栄養学 吉田企世子・松田早苗監修 高橋書店

管理栄養士・田澤梓