暑い時期と比較すると、寒冷時は同じ時間や強度の運動を行っても発汗量が少なくなり、水分補給を怠りがちです。ユニフォームや防寒着を着ることでトイレを利用する回数を減らしたいため、飲水を控える選手もいます。

運動中、運動後は糖質や塩分補給

しかし、実は防寒着の断熱効果により、寒冷環境でも多くの体水分が失われています。特に45分以上の運動をしたり、多量に発汗したりする状況ではパフォーマンスを維持するため、運動中に水分や糖質、ナトリウムを補給しなければなりません。糖質や塩を含んだ飲料を運動中や運動後に摂取する必要があります。

運動前には体水分を正常な状態に

もちろん、運動前には体水分が正常な状態になるように、2~4時間前に5~10ml/体重の割合で飲料を摂取しておきましょう(体重70㎏の場合、350~700ml)。飲み過ぎた飲料が排出できる時間も設けておく必要があります。体に水分が足りているかどうかの目安は、運動前後に体重測定を行い、その体重差が2%以内であることです(体重70kgなら1.4kg以上)。

まず多め、その後こまめに少量ずつ

一度にたくさんの飲料を摂取すると、飲んだ直後は胃から腸への水分の排出速度が速くなりますが、胃の内容量が少なくなると、排出速度もゆるやかになります。運動前にはまず、やや多めの飲料(500ml程度)を摂取した後、少量ずつこまめに摂取することで、胃の水分量が維持され、胃からの排出時間を短縮することができます。

水分は飲み物だけではなく、補食からも摂れます。休憩中に摂る温かい飲み物や食べ物は、冷えた体を温めることにも役立ちます。寒い時の補食はスープや汁かけおにぎりなど、温かく、エネルギーや塩分を補給できるものがおすすめです。

今回は、「レモンの乳酸菌飲料漬け」を紹介します。カルピスなどの乳酸菌飲料に、輪切りのレモンを一晩漬け込みます。レモンをそのまま食べるだけでなく、漬け込み汁をお湯で割って飲むことで体も温まりやすく、レモンの酸味で気分もリフレッシュできます。

※参考文献「スポーツ栄養学ハンドブック」ダン・ベナードット著 寺田新訳(2021)

管理栄養士・田澤梓