アスリートから「体重コントロール(増量・減量)するときに、いつ食べたらいいですか?」と質問を受けることがよくあります。増量・減量するためにはまず、摂取エネルギー量と消費エネルギー量のバランスを考えます。次に、1日の食事の中で1食だけエネルギー量やタンパク質の量を増減しても、増量・減量には効果はありません。

例えば、朝食の量がとても多くなると、その1日のほとんどの時間で摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが余剰状態となり、脂肪が蓄積しやすくなります。一方、朝食や昼食をとても少なくして夕食の量を多くした場合には、その日のほとんどの時間でエネルギーバランスがマイナスの状態となり、除脂肪体重(脂肪以外の組織、筋肉や骨など)の分解がすすみ、相対的に脂肪量が増えることになります。数回に分けて食事を摂った場合には、除脂肪量および脂肪量が維持されやすくなります。

「不足」すると体脂肪量が多くなる

このように、1日の中でエネルギーバランスが悪くなり、不足する部分が多くなるほど、体脂肪量が多くなることが認められています。食事の頻度が少なく、その分、一度に多量の食事を摂取した場合は、たとえ摂取したエネルギー量が同じであったとしても、糖を体内に取り込むホルモン(インスリン)が過剰に分泌され、体脂肪がつきやすくなります。また運動中にエネルギー必要量を満たせなかった場合、除脂肪組織が分解されていまいます。

体重コントロールをするためにはエネルギーバランスが1日の中で大きく変動しないようにすることが重要ですので、3食だけでなく、補食を活用して、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスをとっていきましょう。

今回は青森の郷土料理、南部せんべいを使った「せんべい汁」を紹介します。お鍋ひとつで、野菜もお肉も糖質源であるせんべいも食べられます。調理時間も短いので、1日のエネルギーバランスを維持するために活用してください。

参考文献:スポーツ栄養学ハンドブック ダン・ベナードット著 寺田新訳(2021)

管理栄養士・田澤梓