「野菜をあまり食べてくれなくて困る」と保護者の方から相談を受けることがあります。どうしても選手優先の食卓になりがちでしょうが、まずご自身の好きな野菜は何ですか? その野菜のどんなところが好きですか?

 健康のため、スポーツをするために野菜を食べるという目的では、子どもには魅力的に聞こえませんし、大人であってもつまらないものです。

 例えば、トマトであれば、「酸味と甘味のバランスがさわやかで好き」「弾けるようなジューシーさがおいしい」「生で食べるだけではなくて、加熱した時の肉料理との相性がいいのが好き」など、色々な言葉が出てきますよね。体やスポーツのためだけではなく、食材の魅力を伝えて食べたいという気持ちをもってもらうことも、食べてもらう方法です。

 トマトのうま味はアミノ酸の一種、グルタミン酸の効果によるもの。これは昆布などに含まれているものと同じなので、かつお節などに含まれるうまみ成分、イノシン酸と結合するとより強いうま味となります。肉料理とトマトの相性がいいのはそのためです。

暑い夏に鍋物もおつ「トマトのすき焼き」
暑い夏に鍋物もおつ「トマトのすき焼き」

 今回は「トマトすき焼き」を紹介します。夏に鍋料理は暑いですが、汗をかきながら食べるのもおいしさのひとつです。ぜひ野菜の話をしながら、家族で鍋を囲んでみてください。

管理栄養士・田澤梓