ラグビーの小学生クラブチームの日本一を決めるヒーローズカップ(NPOヒーローズ主催)の実行委員長を務め、元日本代表として最多キャップ98を誇るLO大野均氏(45)はなぜ、鉄人になれたのか。その理由の1つに子どもの頃の食生活があった。

子どもの頃の食生活を振り返る大野氏
子どもの頃の食生活を振り返る大野氏

水代わりに牛乳、自家製野菜と卵

192センチの長身と鋼のような体、愚直ながら前に進む強靭な精神力。2015年ワールドカップ(W杯)でも体を張ったプレーを続け、南アに勝利したときは人目をはばからずに大泣きした。決して強豪とは言えない東北地区大学リーグに所属する日大工学部でラグビーを始めた異色の大野氏は、引退するまで大きなケガもせず、41歳まで現役を続けた。

福島県郡山出身。実家は専業農家で4人姉弟の3番目で、農作業の手伝いもよくしていたという。「家で採れた野菜や米を食べて、卵も産みたてを食べられた。酪農もやっていたから牛乳も搾って水代わりに飲んで…今考えると、かなりぜいたくな食生活でしたね。もっと肉を食べたいとは思っていたけど、(食事全体で)量は食べていたので、自然に胃袋は強くなっていたと思う」。

生まれたときは4000g以上。常に周りよりも一回り大きな少年として育ったが、父は160センチ台、母は150センチ台と小柄で、姉2人と弟も骨太な小柄だという。家の農作業や子牛の世話を手伝う中で体幹は鍛えられ、夜9時前に床に入り、朝は7時頃までぐっすりと寝た。

「ラグビーのニュージーランド代表はファーマー(農家)出身が多いんです。ニュージーランドに遠征で行ったとき、地元福島の景色を思い出しました。子どもの頃の生活が、ラグビー選手としての元を作ってくれたのかもしれません」。

2015年9月19日、W杯イングランド大会1次リーグ日本-南アフリカ戦の前半、トライを決めて歓喜する大野氏(右から2人目)ら日本フィフティーン
2015年9月19日、W杯イングランド大会1次リーグ日本-南アフリカ戦の前半、トライを決めて歓喜する大野氏(右から2人目)ら日本フィフティーン

高校までは野球でベンチ外、大学からラグビー

小学4年から高校までは野球に没頭した。清陵情報高では外野手、捕手だったが、レギュラーにはなれず、チームが選抜大会に出場したときはベンチ入りもできなかった。練習試合では「相手チームから、あのベンチにいるデカいやつは秘密兵器だ、と言われていたようなんですが、最後まで秘密のままで出番がなかったんです」と豪快に笑い飛ばした。大学からラグビーを始めてから、ようやく長身と農作業で鍛えた体を存分に生かせるようになった。

大学時代の食事は、内容よりも量を意識したものだった。「お金がなかったので、100円のハンバーグ1つで米3合を食べていたような食生活。練習前には学食でうどんと米を食べていました。まあ、エネルギー源となる炭水化物は摂れていたんでしょうね」と笑いながら振り返った。

笑顔で食事に関する思い出話を披露する大野氏
笑顔で食事に関する思い出話を披露する大野氏

食事内容を意識するようになったのは、東芝入り後。無類の酒好きとしても知られる。日本代表として3大会W杯出場など実績を積みながら栄養指導も受け、30代に入ってからコンディション維持のため体調管理を意識するようになった。2015年W杯に出場した日本代表を指揮したエディー・ジョーンズ監督の下では、日頃とる炭水化物にキヌアやそばも取り入れられ、「それまであまり食べなかったワカメなどの海藻もとるようになった」。

子どもの頃はたくさん食べて胃袋を鍛えて

強靱な肉体と勇猛果敢なプレーで「鉄人」と呼ばれるまでになった大野氏は、成長期のジュニアラグビー選手に今やるべきこととしてメッセージを送った。

「僕らは練習や試合が終わったら、飲みに行って食べて…の時代だったけど、その中でも大きなケガをせず、長く現役を続けられたのは、子どもの頃にたくさん食べて、丈夫な体を作っていたことにあると思う。今の若い選手は、『ラガーマン』というより『アスリート化』している。知識も豊富だし、体も大きな選手が多い。それでもまずは、しっかり食べてしっかり寝る。子どもの頃から胃袋を鍛えて、食べる力をつけて欲しい」。

将来、大きく羽ばたける体を作るための基盤として、まずはたくさん食べられる力をつけて欲しいと話していた。

無料オンラインセミナー「ラグビー選手の食事」

アスレシピは9月28日午後8時から、大野氏が実行委員長を務めるヒーローズカップとラグビーキッズ公認のスポーツ栄養オンラインセミナー「ラグビー選手の栄養の基本・体を大きくするための食事」を無料で開催します。大野氏が出場した2015年W杯日本代表の管理栄養士を務めた金子香織さんが講師を務め、当時のエピソードなども盛り込みながら、成長期ラグビー選手の栄養のとり方、食事の量やバランスの整え方、食事量を増やす方法やメニューなど具体的な話にも触れていく予定です。

アスレシピの無料オンラインセミナー「ラグビー選手の栄養の基本・体を大きくするための食事」のチラシを持つ大野氏
アスレシピの無料オンラインセミナー「ラグビー選手の栄養の基本・体を大きくするための食事」のチラシを持つ大野氏

大野氏のように「身長を伸ばしたい」「体を大きくしたい」という選手や保護者にはぜひ聞いて欲しい内容を詰め込んでいます。小食で悩んでいる選手、偏食の選手もぜひご参加ください。

【アスレシピ編集部・飯田みさ代】