ホットドッグを食べると、1個につき36分健康寿命が縮まる――米ミシガン大学の研究チームがこのほど、こんな驚くべき研究結果を発表した。ホットドッグの年間消費量は国民1人当たり70本(2018年発表)と言われる米国では、世代を問わず国民食として愛されているだけに、大きな話題になっている。

米ミシガン大の研究で、5800種類を超える食品の中で最も体に悪いとされたホットドッグ
米ミシガン大の研究で、5800種類を超える食品の中で最も体に悪いとされたホットドッグ

研究チームが、5800種類を超えるスナック菓子や飲料を含む食べ物を対象に健康への影響を調査したところ、ホットドッグがワーストとなり、それらの結果をまとめた論文が食品関連のメディア「ネイチャー・フード」に掲載された。ホットドッグは加工肉であることに加え、体に悪いとされるナトリウムやトランス脂肪酸が豊富に含まれていることがワーストになった理由に挙げられている。逆に、体に良いとされる果物やナッツ類を食べると寿命を延ばすこともできるという。

ナッツや果物で健康寿命を取り戻せる

論文によると、加工肉1gで45秒間、寿命が縮む計算となり、一般的な牛肉を使ったホットドッグのソーセージ61gで健康寿命の27分間を喪失。さらにナトリウムやトランス脂肪酸などの成分が加わったことで、1個当たり36分になるのだという。一方、85gのチキンウイング(手羽先)は加工肉ではないため、影響は少なく、縮む寿命は3.3分にとどまるとしている。

健康にプラスの効果があり、寿命を延ばす食品としては、ナッツ類、豆類、魚介類、果物、でんぷん質を含まない野菜などが挙げられており、これらを食べることで失った分の寿命を取り戻すこともできるとしている。例えば、果物は1gごとに10秒寿命を伸ばすことができ、一握りのナッツなら26分、ピーナッツバターとフルーツジャムのサンドイッチでは33分、オーブン焼きサーモンなら13.5分も寿命を伸ばせる計算になるという。

この論文発表を掲載した米紙「ザ・サン」
この論文発表を掲載した米紙「ザ・サン」

健康を意識、何を食べるか選ぶ指標に

研究者たちは「今回の指標は、何を食べるか選択する際に情報の1つとして役立つものであり、実行可能な範囲での食生活の改善だけも健康になれることを示している」と述べている。1日の食事の10%を加工肉などから健康的な食べ物に置き換えるだけで、48分間健康寿命を伸ばすことができるだけでなく、二酸化炭素排出量も33%削減できるとし、「少し食生活を見直すだけで健康と環境の両面で恩恵を受けられる」と結論づけている。

ホットドッグ早食い王者の寿命は…

ある栄養士はABCテレビの取材で、「ホットドッグの大食い王者のようにたくさんのホットドッグを食べなければ問題はないでしょう」と答えており、気分転換として、たまにホットドッグなどのファストフードを食べる分にはさほど気にすることはないと話す。手軽で塩分の高い食べ物に偏るのではなく、良質なタンパク質やビタミン、ミネラルなどを含む食べ物を積極的に日々の食事に取り入れるだけでも、長生きの秘訣になりそうだ。

ちなみに、ニューヨークで毎年独立記念日の7月4日に開催されるホットドッグの早食い選手権で14回優勝しているレジェンド、ジョーイ・チェスナット氏は、今年も10分間で76本を食べて自己記録を更新。これまで、この競技だけでも計1094本を食べている。単純計算すると3万9384分、27.35日と約1カ月近く寿命が縮んだことになるが、本人はこの報道を受けて「面白いね。ナッツをたくさん食べて寿命を取り戻さないと」とツイートしている。

【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】