オフの朝に15分間の調理実習 

食堂が休みの月曜朝は希望者を募り、感染症対策をとった上で料理教室が開かれた。4人グループを作り、朝8時から1グループずつ、約15分の調理実習。ホットサンド、フレンチトースト、スムージー、野菜と肉たっぷりのそうめん、豚汁、チーズオムレツなど、毎回、1人暮らしでも役立つ簡単メニューを作った。「フレンチトーストがおいしかったです」とSH飯沼蓮(3年)が言えば、「来年社会人になるので、役に立ちました」と箸本主将も山田さんに感謝の言葉を口にした。

料理にはまる選手、自炊男子も

そこで腕を上げたのか、自炊力がアップした選手も増えたようだ。月曜夜は、食堂にホットプレートを出して、数人ずつで好きな料理を作って食べた。箸本は「僕らのグループは豚肉を買ってきて焼くだけが多かったですけど、ハンバーグとか手の込んだものを作っているところもあります」と外食が認められた今でも、料理を楽しんでいる者もいるという。

大賀は、同じく2年生の仲間が自炊する写真投稿を見て「実は僕も、自宅で何回か自炊したんです。1回、チキン南蛮を作ったんですけど、うまくできましたよ」。密かに刺激を受けていたことを明かした。

にこやかにオンライン取材を受ける飯沼(左)と大賀
にこやかにオンライン取材を受ける飯沼(左)と大賀

ニューノーマルな「鍋」にも対応

コロナ前は2週間に1度、部屋のメンバーで鍋を囲んでコミュニケーションを図るのが恒例だったが、今でも複数人が1つの鍋をつつくメニューは「提供できない」と山田さんはあきらめていた。しかし、8月にある4年生から「鍋が食べたい」と熱烈なリクエストがあり、発想を転換。「鍋をつつくのではなく、鍋を作って配膳するスタイルで提供しよう」と新領域にチャレンジした。

鍋は雰囲気が大切ということで、コンロを数台並べ、鍋をぐつぐつ煮るシーンを見せるのが演出の醍醐味。メニューは人気のニンニクみそ鍋だ。

選手たちが鍋を求めて長蛇の列にならないようなオペレーションにするまで難しかったが、まずは調理場の大鍋で煮てもらった鍋を食べ、おかわりを鍋から取り分けるようにしたことで待ち時間もなく、気持ち良く食べてもらえたという。

「選手たちは、器に盛って、好きな調味料をかけて食べるのが好きなんです。大好評でした」。選手たちの喜ぶ顔が山田さんにとっての癒しになり、パワーになる。

「明治のラグビー」で優勝を

今季は1試合ごとに修正を繰り返し、チーム力を高めていかなければならない難しいシーズンになる。箸本主将が「今、ラグビーができることに感謝したい。あとは明治のラグビーをやるだけ。FWはフィジカルで圧倒して、BKで展開力を見せる」と言えば、髙橋、飯沼、大賀も「明治がやることは変わらない。自分たちがやりたいラグビーにチャレンジして、最終的に優勝する」と声をそろえた。明治のラグビーを追求する先に、栄光がある。

【アスレシピ編集部・飯田みさ代】