第4月曜は、強豪チームの食の現場をリポートする「寮めし」。特別版の今回は、プロ顔負けの料理の腕を持つ仙台育英(宮城)バレーボール部郷古武部長(52)が作る韓国風ネギダレ「パジャン」を紹介します。野球部長時代の15年には、夏の甲子園準優勝を支えた一品です。

免疫力アップ、食欲増進、スタミナ維持

郷古先生は、保護者を対象とした選手の食事の講演会でいつも披露するメニューがある。それは「パジャン」と呼ばれる韓国料理だ。

ニラやネギ、ゴマなどの薬味に、ニンニクと韓国唐辛子、しょうゆをベースとしたピリ辛のタレのこと。「冬は風邪予防にもなりますが、夏は食欲増進にスタミナ維持。また、現在では免疫力を落とさないためにもってこいの料理でしょう」と勧める。ご飯にかけて食べるもよし、納豆や豆腐など、さまざまな食材にも合うという。

早速、作ってみたという保護者からも大好評で「ゆでた鶏のむね肉にかけたらおいしかった」とアレンジレシピの報告もあったという。

「皮を取り除いた鶏のむね肉は低脂肪で高タンパク、低カロリーで必須アミノ酸のバランスが高い。パジャンと一緒に食べると滋養強壮にもいいし、疲労回復、消化促進にもいいでしょう」と郷古先生も太鼓判を押す。

鶏むね肉は皮をはいでからゆでて冷まし、スライスまたは、手で裂いて、上からパジャンをかけるだけ。「現在は、皆さん、家にいる機会も多いでしょうから。簡単なパジャンをぜひ、作ってみてください」。保存もできるため、パジャンの活用方法は、無限大だ。

プロ顔負けの料理名人

郷古先生は、もともと料理が趣味で、だしはひと晩かけて鶏の骨から取るほど。すべて自己流だが、料理本を読んだり、知人の料理人に教えを乞うなどしてきた。今では、プロ顔負けの腕前で、逆にお店にアドバイスすることもあるほど。料理好きが高じて09年には日本唐揚協会の検定試験を受け、「カラアゲニスト」としても認定されている。

郷古武部長

そんな郷古先生が、学校でスポーツの部活を担当するにあたり、選手たちの体作りに役立つ食事はないかと考え、パジャンを思いついた。

「最初はキムチなどの発酵食品がいいと思いました。ただ、パジャンの方がお母さんたちの料理のレパートリーを広げるのにいい。飽きずにいろいろ食べられますからね。火を使わず手軽に作れるのもいいでしょう」と郷古先生はいう。

バレー部部長の前は、野球部の部長を9年務め、その間、春夏合わせて7回の甲子園出場。大会期間中は、滞在するホテルの部屋で選手たちのためにパジャンを作り、毎食事に提供。暑い甲子園で選手たちの活躍をバックアップし、15年には準優勝に輝いた。

バレー部に異動後も、選手の食育に積極的に取り組み、バレー未経験の女子選手が食育で体を作り、メキメキ上達したことも。「あらためて食事をしっかり食べて、体を作ることの大切さを思い知らされています。風邪もひきませんからね」とその効果を実感している。

「おいしく、体にいい食事を提供することで、皆さんが喜んでくれる。ベストパフォーマンスを発揮して、明日も頑張ろうと思う活力になってくれたらいいですね」と郷古先生。 いまだ、新型コロナウイルス感染の不安は消えないが、おいしくご飯を食べ、笑顔にあふれた毎日を送る。それが、パジャンの最高の免疫力アップの証しなのかもしれない。【保坂淑子】

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