2020年東京オリンピックの正式種目として注目される7人制ラグビーは、7分ハーフの試合時間で、スピードとパワー、そして持久力が必要とされる競技だ。18歳以下の全国大会「U18女子セブンズラグビー大会」が10月26日~27日、埼玉・熊谷で開催され、全国9ブロックを勝ち抜いた12チームが参加し、石見智翠館(島根)が2連覇を飾った。大会に参加した「ラガール」たちに体作りと補食の工夫を聞いた。

60キロクリアへ空腹作らない佐賀工

前回のラグビーW杯で活躍した元日本代表・五郎丸歩の母校で、12月の全国高校ラグビー選手権(花園)に38年連続48度目の出場を決めている佐賀工(佐賀)は、女子も強い。今年3人の1年生が加入し、女子部員が12人に増え、単独チームとして初出場を果たした。普段から男子選手と同じトレーニングをしており、食事への意識も高い。

単独チームとして今大会初参加した佐賀工の女子選手たち
単独チームとして今大会初参加した佐賀工の女子選手たち

BKとして攻撃の要を担う近藤きらら(3年)は「お母さんお手製のゆで卵」がパワーフードだ。毎日、塩味を効かせたゆで卵を後輩の分も含め3個持参し、登校している。「女子の目標は全員が体重60キロをクリアすることです。身長が150センチ台の選手が大半なので、休み時間におにぎりを食べたり、購買にパンを買いに行ったりして増量に取り組んでいます」と話した。

他の選手にも「補食アイテム」を聞いた。

・ゼリー飲料 ヨーグルト味=冨吉瑠那(3年)
・ゼリー飲料 リンゴ味=内田麗(うらら、2年)
・お母さんお手製の鶏のから揚げ=松尾朱里(2年)
・お母さんのワカメおにぎり=山領一花(2年)
・地元のさがびよりの白米=峰愛美(1年)
・きらら先輩のゆで卵=水間美夢音(みゅう、1年)
・お母さんのお手製の梅干しおにぎり=重松希歩(のあ、1年)

激しいタックルで守り抜く佐賀工
激しいタックルで守り抜く佐賀工

合言葉は「空腹を作らない」。無理やりご飯を詰め込むのではなく、こまめに、ちょこちょこ食べる意識で、楽しく補食をとっている。

フルーツで疲労回復するPEARLS

四日市メリノール学院(三重)の選手を中心に編成するクラブチーム、PEARLSは昨年の9位を上回る7位と健闘した。予選プールでは、優勝した石見智翠館を相手に前半、館聖佳(3年)がトライを決める奮闘を見せた。

東海地区代表で出場した三重のクラブチームPEARLS
東海地区代表で出場した三重のクラブチームPEARLS

このチームでは補食にフルーツを活用し、疲労回復とパフォーマンス向上、集中力アップを狙っている。試合時間の短い7人制は、1日2試合以上行うことが多く、試合間の補食のとり方が重要になってくる。PEARLSの人気補食は、1位マスカット、2位パイナップル、3位オレンジ。選手たちは「今日は何のフルーツかな?」と、何が提供されるのか楽しみにしているという。

FW、BKのバランス力で地区大会を勝ち抜いてきたPEARLS
FW、BKのバランス力で地区大会を勝ち抜いてきたPEARLS

女子ラグビーの人気は年々高まっている。高校生による女子7人制の全国大会として2012年にスタートした今大会は当初、1日開催で参加人数は400人に満たなかったが、今年は約1000人まで増え、レベルも上がっているという。

参加選手約1000人と拡大したU18女子セブンズラグビー大会
参加選手約1000人と拡大したU18女子セブンズラグビー大会

運営する岩渕健輔副会長は「2020年東京五輪、2021年女子ラグビーW杯の候補選手がこの大会の参加者の中にいる。今後ますます楽しみな競技」と期待している。【樫本ゆき】