20日に開幕したラグビーW杯が盛り上がる中「ラガール(女子選手)」たちの奮闘も見逃せません。九州で唯一女子ラグビー部を持つ九産大は今年、過去最高の8人が入部。元日本代表・平野勉監督(54)とともに東京五輪種目「7人制ラグビー」での大学日本一を目指しています。今回はそんな彼女たちの寮めしならぬ「自炊ライフ」をのぞいてみました。

九産大女子ラグビー部。7人制ラグビーでの大学日本一を目指す

体作りを見直す

五輪正式種目決定に合わせ、2012年に女子ラグビー部を創部したのが九産大だ。2005年に神宮大会優勝を果たした野球部は名門で知られるが、女子ラグビー部は九州で唯一。全国11ある大学チームのうち、2番目の歴史を誇る。元日本代表、九州電力キューデンヴォルテクスでフランカーを務めた平野勉監督が、「女子日本代表」の育成と女子ラグビーの普及を目指し活動を行っている。

九産大女子ラグビー部平野勉監督(中央)。選手の自炊について「意識がちょっとでも変わってくれればいい」

「『なんで女子がラグビーやるとや?』と思ってる人がまだ多いです(笑い)。でも、面白さは男女変わらないし、五輪効果もあって熱は確実に高まっているんです」と平野監督。福岡県では女子選手の登録数がここ7年で125人から251人(2018年)に倍増しており、小学生チームに女子選手が複数いることが当たり前になっているという。

5月から「食事改革」に着手

そんな九産大が今年5月「食事改革」に着手した。チーム専属トレーナー・弘津愛理さん(25)が選手たちの体作りを見直すため、全員の1週間の食事をチェック。1人暮らしをしている選手が多くいることで「食べる量が少ない」、「朝食を抜いている」、「コンビニで何を買ったらいいかわかっていない」など現状を確認した。そのデータを元に栄養指導を行い、汁ものとおかずを多めにとる「一汁三菜」を薦めた。

主将の内田葵さん(FW・4年)は「FWなので、スクラムに強い体になりたい。週2回ウエートトレを行っているのに、なかなか筋力が付かないのが悩みでした。タンパク質をもっと多くとって、キレとパワーのあるプレーをしたい」と食事の見直しを口にした。

選手の意識に変化

栄養指導を受けた選手たちの意識が変わり、自炊メニューにも工夫がみられるようになったという。

選手たちは予算を考えながら自分たちなりの「一汁三菜メニュー」を実践できるようになった。平野監督は「自炊なので全員が完璧に、とはいかないが、選手たちの意識がちょっと変わってくれればいい」と話し、パフォーマンス向上を期待している。

7人制大学女子ラグビーのチャンピオンシップ「太陽生命ウイメンズセブンズシリーズ」の入れ替え戦突破を目指す九産大。今回取材した3選手の夢は、消防士(内田)、街づくりコンサルタント(内野)、体育教師(迫田)…とそれぞれ違うが、「母親」予備軍であることは間違いない。

2019年W杯が終わった後は、2020年東京五輪(7人制・男女)、2021年ニュージーランドW杯(15人制・女子)とビッグイベントが続く女子ラグビー界。彼女たちの明るく前向きな食育が、その字のとおり「人を良くする」土台へとつながり、女子ラグビー発展につながっていく。【樫本ゆき】

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