寮内の空き地で無農薬野菜作り

選手に「ばぁば」の愛称で親しまれている佐藤さんは、息子の勇太さん（31）が健大高崎の野球部OB。そんな縁もあって、野球部専用の新しい寮の建設時に、青柳監督から食事の世話をお願いされた。

そんな「ばぁば」は、選手たちの母親代わりでもある。ホームシックの選手がいれば、声をかけて元気づけ、選手が食べたいと言えば、当日のメニューになくてもすぐに作る。食の細い選手には、小さいおにぎりを3～4個持たせ、時間を置いて食べさせる工夫も。

「選手に無農薬の野菜を食べさせてあげたい」。そんな思いから、寮内の小さな空き地に菜園を作り、無農薬の野菜も振る舞っている。「楽しいですよ。『ばぁば、今日打ったよ』なんて、子供たちの元気な顔を見ると、私まで元気が出ます」と、佐藤さん。

一方、勇太さんは「両親と同じ料理の道に進みたい」と20歳で一念発起。東京で修業をした後、家業の仕出し弁当屋「はながさランチ」を継ぎ、現在は、営業本部長として経営に携わっている。健大高崎の寮の食事は、OBとその家族の愛に、温かく支えられている。【保坂淑子】

◆高崎健康福祉大高崎高校　1968年（昭43）創立の私立校。01年（平13）共学となり現校名。野球部は02年（平14）創部。過去、春3回（ベスト4・1回）夏3回（ベスト8・1回）甲子園出場。部訓は「不如人和」（人の和はすべてに勝る）。主なOBに三ツ間卓也（中日）、長坂拳弥（阪神）。学校所在地は、群馬県高崎市中大類町531。

（2019年7月22日付日刊スポーツ紙面掲載）