道産米の道内食率は85%超

昨年度の米の食味ランク(※2)では「ゆめぴりか」が8年連続、「ななつぼし」が9年連続で「特A」評価を受けた。道産米の道内食率は85%を超え、主要産地銘柄全体の販売数量に占める産地別販売割合は、北海道が18・9%でトップ(16年度米穀安定供給確保支援機構調べ)。宗形氏は「良い品種ができれば、それをベースにできる。こつこつ積み重ねる中でいいものができている」と、改良に改良を重ね、食味にこだわってきた現在の姿に胸を張る。

道産米などの品種改良に取り組む上川農業試験場(撮影・浅水友輝)
道産米などの品種改良に取り組む上川農業試験場(撮影・浅水友輝)

平成元年、89年デビューの「きらら397」から進化の30年を遂げ、20年東京五輪を迎える。令和の時代、農試ではアジア圏を含む海外需要も想定し「現在の食味を維持しつつ、今度は30年かけて収量が多い米が求められる」(宗形氏)とする。人工交配から品種になるまで最短で8年かかるため、東京五輪で特別な米を出す予定はない。今まで積み上げてきた道産米を、世界中の人に味わってもらう。その先に、次のステージが待つ。

30年冬季札幌大会へ試金石

道は17年6月に「2020年東京オリンピック・パラリンピック道産農林水産物供給北海道協議会」を設置し、東京大会での道産食材供給を通したPRを目指している。選手村の食堂運営は、98年冬季長野大会での実績などから事業給食大手のエームサービスが担当する。協議会では「北海道の農林水産物をPRする良い機会」(事務局担当者)とし、構成する道農政部など5団体は19年5月までに4度のミーティングを重ねてきた。

昨年10月には「食王国・北海道レセプション」を東京都内で開催。大会のスポンサー企業や組織委員会などに、道産米やジャガイモやタマネギなどの野菜、魚介類を使用した料理を提供した。「首都圏のレストランやホテルのシェフの方もきた。知っていただく機会にはなっている」と手応えもあった。

道産食材が東京大会でアピールに成功すれば、札幌市などが誘致を進める30年冬季札幌大会への試金石にもなる。協議会では「冬の大会がどういう風になるかはわからないが、東京大会でのノウハウや情報を引き継がれることになるとスムーズに進められる」としている。【浅水友輝】

東京五輪で供給を目指す主要道産食材
東京五輪で供給を目指す主要道産食材

◆選手村で提供される食材 食材の品質管理を定めた安全性認証であるGAP認証制度(Good Agricultural Practice=農業生産工程管理)の取得が必要になる。農業において食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための制度で、農業生産者のほか岩見沢農高なども取得している。

※1 42年に制定。農家の自家消費分以外を政府が買い取り、供給、流通、価格を統制するシステム。95年に廃止。
※2 日本穀物検定協会の評価員20人が白飯の「外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価」の6項目を基準米(コシヒカリのブレンド米)と比較評価。基準米より特に良好なものを「特A」、良好なものを「A」、おおむね同等のものを「A'」、やや劣るものを「B」、劣るものを「B'」にランク付け。

(2019年5月21日付日刊スポーツ北海道版掲載)