摂食障害やうつ病に苦しんだフィギュアスケートの元全米女王、グレーシー・ゴールド(23)が今月行われたGPシリーズロシア杯で約2年ぶりに復帰した。

治療はまだ継続中。試合前には「自分がまだスケートができる、競技に出られるということを証明したかった」と話していたが、ショートプログラム(SP)は37・51点で10人中最下位。それでも「目標は試合に出ることだった」とほっとしたような笑みを見せていたが、フリーは棄権し、自身のツイッターで「もし悲しませたら申し訳ない」と長文メッセージを掲載し、謝罪した。

ロシア杯の女子ショートプログラムで演技するグレーシー・ゴールド(撮影・PNP)
ロシア杯の女子ショートプログラムで演技するグレーシー・ゴールド(撮影・PNP)

「どん底からのスタート」

2014年ソチオリンピック(五輪)ではアメリカの団体3位に貢献したが、平昌五輪は摂食障害の治療を理由に出場断念した。今年4月に練習を再開。「どん底からのスタート」で当初は2回転ジャンプが精いっぱい。SPでも3回転を決めることはできなかったが、大きな一歩だ。

7月の地元テレビのインタビューでは「フィギュアスケート選手はスポットライトを浴びる競技。美しい体形を求められることへのプレッシャーがある。モデルのような姿になる考えはやめて、ただ自分のベストを尽くすこと、自分自身を見てより良くすることだけを考えるようにした。他人のことを気にしだすと、どんどん不幸せになっていくから」と前向きに話していた。

今大会は、あくまでも復活への扉を開けたばかり。一進一退を続けながら再びリンクでの輝きを取り戻すつもりだ。

【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】