サラダチキン、とり天…

 選手たちの工夫とは、一体どんなものか? 選手からは「鶏肉」というキーワードが多く聞かれた。インターネットなどで調べ、筋肉量を増やす食事を自分たちで研究しているようだった。

 2回戦で本塁打を放った4番本田蒼空(2年)は「サラダチキンをいつも食べています! 野菜を一緒に食べると栄養もたくさんとれて食が進みます」と話す。小学校の給食調理師を務める母陽子さんのアドバイスを参考しにして、肉だけに偏らない食事を心がけている。「食事とトレーニングのお陰でパワーがついて、最近、センター方向にも打球が飛ぶようになりました」。試合前日は必ず消化のいいめん類を食べて、ゲン担ぎをしているそうだ。

2回戦で本塁打を打った4番本田。2年生ながら優れた身体能力で打球をスタンドまで運ぶ
2回戦で本塁打を打った4番本田。2年生ながら優れた身体能力で打球をスタンドまで運ぶ

 エース河浦は「とり天」が大好物だ。入学時の身体は身長176センチ、体重70キロ。決して恵まれた体格とは言えなかったが、地道な食トレと、走り込みやウエートトレなどで現在は目標の80キロまで増量することができた。「とり天にご飯2杯は必ず食べて、冬は夜にお茶漬けをかき込んで体重を増やしました。今もお腹がすくと、母に『とり天作って!』とお願いしています」。

 母加奈子さんお手製のオーロラソースをかけて食べるのが大好きだと話す河浦。「鶏肉好き」な息子のために、加奈子さんはとり天以外にも、唐揚げや、ササミのカツも大量に作ってくれるそうだ。河浦の速球のルーツは、母の愛情料理と言ってもいいかもしれない。

エース河浦(後方)は鶏肉料理中心に、冬場は体重増加に取り組んだ
エース河浦(後方)は鶏肉料理中心に、冬場は体重増加に取り組んだ

 九州地区、特に大分の郷土料理でもある「とり天」は、大分城主が「天下どり」「天をとる」として好んで食していたと言われる。今春の県大会で優勝しながら、部員の不祥事による対外試合禁止処分を受け、九州大会を辞退した小倉。1カ月間の処分期間、清掃などの奉仕活動で精神的にも強くなり、ノーシードながら快進撃をつけている。北福岡大会63チームのトーナメントを勝ち上がり、天下取りへ意気込んでいる。【樫本ゆき】

ノーシードながら快進撃を見せる小倉。チーム一丸で62年ぶりの夏甲子園をつかみ取る!
ノーシードながら快進撃を見せる小倉。チーム一丸で62年ぶりの夏甲子園をつかみ取る!