免疫力をアップさせるという「乳酸菌」は、菌個別の名称ではなく、糖を分解して大量の乳酸を作りだす細菌の総称。その種類は属・種・株で細かく分類され、数千種類もある。

 その中で、ウイルス感染防御を担う免疫細胞チームの“司令塔”pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に直接働きかけ、活性化させる唯一の乳酸菌が「プラズマ乳酸菌」。これまでインフルエンザ予防などで効果があるとされていたが、運動時の免疫低下においても効果があるとこのたび、共同研究するキリンと順天堂大が報告した。

「プラズマ乳酸菌の働きとスポーツ医学領域における新展開」の資料から

順天堂大運動部の選手で試験

 共同研究している1人が、順天堂大医学部の島田和典先任准教授。循環器内科医として日本サッカー協会医学委員であり、2014年サッカーワールドカップブラジル大会では日本代表のチームドクターを務めている。

「プラズマ乳酸菌は、今後スポーツ分野での活用が期待できる」と話す島田准教授

 長距離走など高強度の運動をすると免疫が低下し、風邪をひきやすくなると言われてきたが、実はそのメカニズムは詳細には分かっていなかった。それを解明し、体調管理法を探索するため、島田准教授らは20歳以上の順天堂大運動部(サッカー部、自転車部など)の学生を対象に試験を実施。その結果、激しい運動の連続による疲労の増加と、pDCの活性に関係があることを「世界で初めて」確認した。

 これに加えてプラズマ乳酸菌を摂取すると、pDCの活性を高め、体調改善や疲労度の軽減につながることも明らかになった。今回の試験では、サッカー、陸上といった持久力系スポーツの選手が対象だったが、今後、瞬発系スポーツなどでも検証していくという。島田准教授は「どんな競技で、どんな場面で効果があるのか、スポーツ分野での活用を目指し、引き続き研究を続けていく」と話している。

「プラズマ乳酸菌の働きとスポーツ医学領域における新展開」の資料から

48時間で排出、継続摂取が「前提」

 乳酸菌の摂取で期待できる効果は免疫力向上で、即効性があるものではない。また、疲れた後に摂るものではなく、常に免疫細胞を活性化させておくという考え方だ。疲労度軽減とはいっても「リカバリー目的であれば、練習後30分以内の糖質やBCAA摂取などの方が効果が高いでしょう」と島田准教授は見解を述べた。

 さらに「どの乳酸菌でも、体内に入ってから約48時間で体外へ排出されてしまうので、継続摂取が前提」とキリン事業創造部の藤原大介氏が説明するように、一時的に摂っても効果は薄いという。プラズマ乳酸菌のとり方は、ヨーグルトや乳酸菌飲料のほかタブレットもあり、どの商品もプラズマ乳酸菌が1000億個配合されている。【アスレシピ編集部】

会見に登壇したスポーツキャスターの宮本和知氏(左から2人目)と奈緒子夫人(左)、島田准教授とキリン藤原氏

巨人がプラズマ乳酸菌飲料とサプライヤー契約

 プロ野球の巨人は6月、キリン及びキリンビバレッジとオフィシャル乳酸菌飲料サプライヤー契約を締結。1軍、2軍、3軍すべての試合で、プラズマ乳酸菌配合の「iMUSE(イミューズ) レモンと乳酸菌」などが選手たちに提供されている。