この季節になると必ず流行するインフルエンザ。今年は、昨年より早い時期から「香港A型」を中心に広がっていますが、本当のピークは年明けになる見通しで、これからが本格的な流行シーズンです。

 インフルエンザの基本的な予防策は以下の通り。1つではなく、これらを複合的に組み合わせることが大切です。

流行前のワクチン接種
外出後のうがい、手洗い
飛沫感染対策としてマスク着用
適度な湿度の保持
十分な休息
栄養バランスの取れた食事
人混みや繁華街への外出を控える(外出する時はマスク着用)

 順天堂大大学院感染制御科学講座の山本典生准教授(47)は、さらに免疫力アップのための食品としてヨーグルト、それに含まれる乳酸菌の摂取をすすめます。詳しく話を聞きました。

  ◆ ◆ ◆

<感染制御学の山本典生准教授に聞く>

どの乳酸菌も免疫力はアップさせる

 「乳酸菌」は個別の菌の名前でなく、糖を分解して大量の乳酸を作りだす細菌の総称。その種類は属・種・株とそれぞれの持つ性質によって細かく分類されており、数千種類もある。

順天堂大大学院感染制御科学講座の山本典生准教授
順天堂大大学院感染制御科学講座の山本典生准教授

 山本准教授 それぞれの菌には個性があり、効果の強弱やメカニズムに差はありますが、全体的には免疫力を活性化、調整する力があります。そういう意味で、どの乳酸菌を摂取しても、インフルエンザ対策にはなります。

 --メーカーにもよるが、カップ1個のヨーグルトに10億~1000億個の乳酸菌が含まれているという。

 山本准教授 外から摂取した乳酸菌は腸に定住せず、すぐに出て行ってしまうので、継続しての摂取が必要です。カップのヨーグルトなら1日1個で十分。1回にたくさん食べても、継続しなければ効果は現れにくいです。

 --一緒に食べると効果的なものはあるのだろうか。

 山本准教授 食物繊維とオリゴ糖は、代表的な善玉菌であるビフィズス菌を増やす働きがあるので、腸内環境が改善され、より効果が高まることが期待できます。

 --食物繊維だと豆類、野菜、キノコ類、海草類など、オリゴ糖だとゴボウ、タマネギ、ニンニク、納豆、バナナなどがいいという。

 山本准教授 また、きな粉は食物繊維が多く、オリゴ糖も含んでいます。以前、話題になりましたが、「きな粉ヨーグルト」は、免疫力アップという点からも非常に優れていると言えるでしょう。スムージーなどのドリンクで摂ってもいいですね。

 --逆に、一緒に食べると効果が下がるものは

 山本准教授 特にありません。心配しなくてもいいです。

 --食べると効果的な時間帯、タイミングは

 山本准教授 食後に食べると、胃酸が薄まることによって、菌が生きたまま腸に届きやすくなるという考え方がありますが、個人的にはあまりこだわらなくて良いと思います。殺菌された菌体でも有効成分は保たれているからです。また、整腸作用、便秘改善の点から「夜がいい」と言う方もいますが、朝や昼でもいいと思います。

プラズマ乳酸菌は“司令塔細胞”に直接効く

 --では、どのヨーグルトでも効果は一緒なのか。購入する際には、何をチェックすればいいのだろうか。

さまざまな機能性ヨーグルトがあるが、インフルエンザ対策にはプラズマ乳酸菌配合のものおすすめ(埼玉県のスーパーで)
さまざまな機能性ヨーグルトがあるが、インフルエンザ対策にはプラズマ乳酸菌配合のものおすすめ(埼玉県のスーパーで)

 山本准教授 「プラズマ乳酸菌」配合のものがおすすめです。これまでの機能性ヨーグルトに配合されている乳酸菌は、NK細胞など、ウイルスに対して一部の役割を持った細胞を活性化させるだけでした。プラズマ乳酸菌は、免疫細胞チームの司令塔であるpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に直接働きかけるので、免疫機能全体を活性化できるのです。これまでの乳酸菌とは違った免疫メカニズムです。古くからある、クセのある菌なので食品化できないとされてきましたが、2011年に学会発表後、商品化されています。

 --「生きたまま腸まで届く」乳酸菌の方が効果はあるのか。

 山本准教授 免疫力向上という観点からすると、「生きた菌」でも「死んだ菌」でも腸に到達すれば、効果に違いはありません。そこは意識しなくても大丈夫です。

 --スポーツ選手は、一般の人より風邪などの感染症にかかる頻度が数倍も高い。

 山本准教授 激しい練習や試合でのストレスで、免疫力は低下しているはずなので、インフルエンザにかかる確率も高くなります。食事には必ずヨーグルトを加えて予防、対策するといいですね。体力に自信はあるでしょうが、過信せず、油断しない方がいいですね。

 --これから本番を迎える受験生も油断大敵です。

 山本准教授 脳を使うので炭水化物(糖質)多めの食事を意識した方がいいですね。家族はバランスの良い食事作りと、リラックスできるような働きかけをしてあげるといいでしょう。最後はメンタル勝負。万全な備えがあると安心感につながります。心の部分も、実は免疫力アップにつながるんですよ。