27日に開幕する全国高校ラグビー大会で、18年連続28度目の出場となる東福岡(福岡)はAシードとして、夏の7人制に続く2冠、花園での2連覇を目指す。藤田雄一郎監督(45)は「(直前合宿で)例年以上に良い調整ができた。相手がどうこうではなく、自分たちのラグビーをする。そうすれば結果はおのずとついてくる」と冷静に語る。10年で6度の全国制覇を誇る名門は、泰然自若の姿勢で頂点をつかむ。

花園入りする30人の登録メンバーが23日、発表された。「脇役たちの力がなくてして連覇はない」と言い切った藤田雄一郎監督(右端)

ラグビー界の清宮幸太郎

 注目は、No.8福井翔大主将(3年)だ。華麗なパスワークと強靱(きょうじん)なフィジカルで大学ラグビー界からオファーが殺到したが、卒業後はトップリーグのパナソニックとプロ契約を結ぶ。高校生ながらU-20日本代表にWTBとして選出もされ、藤田監督が「ラグビー界の清宮幸太郎君」と例えるほど将来性も高く、日本開催の2019年W杯、20年東京五輪(7人制)の代表入りを期待させるスケールの持ち主だ。

食事とトレーニングで、入学時から20キロアップの92キロまで増量した東福岡主将の福井翔大

 186センチ、92キロの恵まれた体格。父由樹さん(45)も高校時代は新田(愛媛)で花園に出場しており、4歳の時からラグビーひと筋の道を歩んできた。しかし、元々食欲旺盛ではなく、太りにくい体質が悩みだった。高校入学前は72キロ。そんな福井が20キロもの増量に成功したのは、入学後すぐに管理栄養士によるスポーツ栄養セミナーを受講したことと、ケガで挫折を味わったことがきっかけだった。

左ひざ負傷入院で一気に

 「1年夏に左ひざのケガで1カ月の入院をした時に、今まで太れなかった体重が一気に95キロまで増えました。でも、この時は気持ちが落ち込んでいたので“やけ食い”のような食べ方をしていて、脂肪で太ってしまったのです」と振り返る。

通称「アサキン」と呼ばれる早朝のウエートトレーニングで筋力アップに成功した福井

 「このままではいけない」。退院後、体のキレを出すため、ランニングメニューを増やし、ウエートトレを人の倍こなした。次第に体から脂肪がそぎ落とされ、同じ体重でも筋肉質の体格へと変わっていった。

家族協力、タンパク質多めに

 もちろん、家族のサポートも大きな力となった。栄養バランスを考えたメニューで、母由美さん(43)が体づくりをサポート。自身も受講したスポーツ栄養セミナーの教えを生かし、タンパク質多めの食事にシフトした。

「支えてくれる仲間のお陰」と話す福井の父由樹さん(左)と母由美さん

 「とにかく空腹の時間がないように、毎日お弁当2個、おにぎりなどを持たせています。お弁当は、1つが米1・5合入る容器に牛丼、親子丼などの丼ものを。もう1つが2合入る容器に、おかずを多めに入れてバランス重視で作っています」(由美さん)。

 米を炊く量は1日約8合。1カ月で約40キロなくなるそうだ。由美さんは「翔大は夏場にいつもやせてしまっていたけど、今年はやせなかった。本人も何を食べたらやせにくくなるかが、分かってきたのでしょうね」と話した。

ある日の夕食=カボチャとレンコン入りカレー、ゴボウサラダ、キャベツとトマトとブロッコリーのサラダ、ハンバーグ、具だくさんの野菜卵スープ

ある日の夕食=納豆キムチ、蒸し牡蠣のオニオンソースあえ、マグロの刺身、ホウレン草とベーコンの卵とじ、鶏のせせり焼きとササミのサラダ、具だくさんの豚汁、ご飯1合

ある日の夕食=1人用水炊き(ネギ、シイタケ、豆腐、白菜、春菊、鶏団子、鶏もも肉)、納豆、カボチャとキャベツのサラダ、ご飯1合

ある日の弁当=ホウレン草とベーコン炒め、ネギ入り卵焼き、エノキとニンジンの豚肉巻き、ブロッコリー、トマト、ご飯2合

 そんな福井の好きな食べ物は「タコわさび。ご飯がどんどん進むんです」。唯一苦手なのはレバーで、野菜も積極的に食べる。地元福岡に本社を構える「ピエトロのドレッシングが大好きで、ブロッコリーやトマトにかけてガツガツ食べます」と笑顔を見せた。

 1試合終えると平均3、4キロ体重が減るというが「花園に行ったら、ホテルの食事も気を付けます。納豆と、ミカンを毎日食べて疲労回復しますよ」と前向きだ。今年3月、高校日本代表でアイルランド遠征した時は、現地の食事に順応し、体重をキープできた。今大会期間中も長期のホテル生活となるが、連覇に向けての食事管理に不安はなさそうだ。

60キロの重りを使ったランジやスクワットなどで約1時間、下半身強化に努めた東福岡の選手たち

初戦は30日、有終の美へ

 東福岡の初戦は30日、八幡工(滋賀)と昌平(埼玉)の勝者と対戦する。相手からの厳しいマークも想定される福井だが、「相手がどこであれ、自分たちのラグビーをやるだけです」とキッパリ。そして「3年生にとって最後の大会。大舞台で戦えることは幸せなことだと思うので、全員の力で絶対優勝したいと思います。優勝候補、と言ってもらえることを逆に楽しみたいですね」。

 プレーだけでなく、キャプテンとしての信頼も厚い男は、仲間とともに高校集大成のプレーを誓っていた。【樫本ゆき】