<Bリーガーの食卓:川崎ブレイブサンダース(下)>

 200センチの長身ながら、抜群の走力でコートを駆ける-。男子バスケットボールBリーグ、川崎ブレイブサンダースの野本建吾(25)は、チームだけでなく日本男子バスケットボール界においても貴重な大型フォワードだ。現在、食生活を含めた肉体改革の真っ最中にある野本に、どのように食事をとっているかを聞いた。

大型選手屈指の運動量を誇る野本健吾
ⓒKAWASAKI BRAVE THUNDERS
大型選手屈指の運動量を誇る野本健吾 ⓒKAWASAKI BRAVE THUNDERS

ご飯は朝300g、夜500g

 川崎では、1食で食べるべきご飯の目安量を、選手一人一人に与えている。野本のそれは朝300グラム、昼と夜は500グラムとチームで最も多い。

 「運動量の多いポジションかつ、大卒で入部して3年目でまだまだ体を作れるチャンスがある。そういう意味を含めて、この量を設定しています」。栄養環境の整備に力を注ぐアスレティックトレーナーの吉岡淳平さんは、そう説明する。

 経験の浅い若手選手は、長いシーズンを戦うコンディション管理に苦戦する。野本自身も、昨季はシーズン中盤から終盤にかけてベスト体重から4キロも減った。

 「当時はご飯の量が決められておらず、みんなと同じくらいの量しか食べていませんでした。だけど、それでは体重が減ってしまって…。今年はその反省を踏まえて、ご飯をたくさん食べて体重を落とさないように意識しています」。

 一般人の4~5倍近くのご飯を毎食食べるだけでなく、おかずもしっかりとらなければならない。食事にかかる時間は、朝食で20~30分。量が増える夕食は40分近くかかることもある。「しんどいです」と野本は率直に打ち明ける。

こんもりと盛られたどんぶり飯を口いっぱいに頬張る野本
こんもりと盛られたどんぶり飯を口いっぱいに頬張る野本

 シーズン中盤になると疲労が溜まり、食が進まなくなる。そういうときは1日、もしくは1週間トータルでご飯の量を計算し、その中でノルマを食べ切ることを心掛ける。「納豆や卵、ふりかけなどのご飯が進むものを足して、なるべく完食することが今後の目標です」。

学生時代はコンビニ、1日2食のときも

 たくさん食べているが、体重は、入団時98キロからの2キロ増のみ。「風邪を全然ひかなくなったし、お通じも毎食必ずあります」と体の変化を強く感じている。

 選手の体組成(体の構成要素)を管理している吉岡さんも「筋肉量が上がり、パフォーマンスも向上しました。ルーキーシーズンはシーズン中の体重や筋量の変動が大きかったですが、近ごろは安定しています」と評価する。

 青学大時代は1人暮らし。スーパーが自宅近くになく、食事はもっぱらコンビニで調達していた。「内容はパスタ、おにぎり、飲み物みたいな感じ。炭水化物ばかりで野菜はあまり食べていませんでした」。朝早い授業がある日や休みの日は朝食を抜き、昼夕の2食で済ませていた。現在も寮の食事が出ないオフはコンビニを利用して朝食をとるが、おにぎりに副菜とサラダ、ヨーグルトという献立を、しっかりと食べるようにしている。

 野本の1学年先輩にあたる永吉佑也は198センチ、115キロ、筋肉量50キロという体格。一方の野本は200センチ、100キロ、筋肉量は44キロ。

 吉岡さんは「野本が永吉を目指すわけではないだろうけれど、大きくできる余地はまだまだある。彼とコンディショニングスタッフとで相談しながら、今後も体作りに励んでいきたいです」と話している。

 理想の体格を手に入れたとき、日本屈指の大型フォワードはどのようなパフォーマンスを見せるのか。今からとても楽しみだ。【青木美帆】

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