<Bリーガーの食卓:川崎ブレイブサンダース(上)>

 男子バスケットボールのBリーグは5月7日にレギュラーシーズンが閉幕、13日からチャンピオンシップ(プレーオフ)が始まる。レギュラーシーズンでリーグ最多勝率(.817)をたたき出し、初代王者筆頭候補の川崎ブレイブサンダースは、リーグ屈指の栄養環境が整ったチームでもある。

Bリーグチャンピオンシップ出場8チームの主力選手。左から川崎・辻、SR渋谷・ブラウン、三遠・太田、A東京・田中、三河・比江島、琉球・岸本、千葉・富樫、栃木・田臥

独身者は3食、既婚者も2食

 神奈川県川崎市幸区。練習拠点の東芝小向体育館から徒歩5分足らずの位置に、川崎のクラブハウスはある。主機能は独身寮だが、1階に設けられた食堂は既婚者も含めてチーム全員が利用可能。独身選手は朝昼夕の3食、既婚選手も昼夕の2食をこの食堂でとっている。

食堂で昼食をとる選手たち。食堂が空いている時間帯に合わせて、各自のタイミングで利用する

 運動で消費された栄養を補うため、運動後はなるべく早く食事をとったほうがいいと言われている。川崎では午前の自主練習後と午後のチーム練習後に、すぐに栄養バランスのとれた温かい食事にありつける。納豆やチーズ、卵、ヨーグルト、ドリンク類(お茶、野菜ジュース、スポーツ飲料)も常備されており、各自が自由にとれるスタイルで、理想的な環境だ。

管理栄養士とトレーナーが細やか対応

 栄養環境を整えているのは管理栄養士の花谷遊雲子(ゆうこ)さんとアスレティックトレーナーの吉岡淳平さん。9月のシーズンインから5月まで、長丁場のシーズンを戦い抜くために、時期に応じた細やかな対応をとっている。

サラダ&フルーツバーを利用する晴山ケビン

 例えば、午後からのチーム練習に備え、昼食では消化の悪い揚げ物を出さない。シーズンインが近づく8月からは、高タンパクなメニューに切り替える。風邪やインフルエンザが流行する冬場は、抵抗力を高めるヨーグルトを必ずとらせるなどだ。

 遠征先での食事にも気を遣っている。選手に自由に外食させるチームもある中で、川崎はホテル内で全員が同じ食事をとる。「ホテル側から献立表をいただき、その内容を花谷さんに添削してもらっています。野菜を多くする、油ものを減らすといったことが多いですね」(吉岡さん)。

身長や体重、筋肉量や求められるパフォーマンスに応じて選手一人一人1食のごはんの目安量を算出。炊飯器の前に置かれた量りを使って、各選手が量を管理している

夫人への教育も徹底、情報共有も

 既婚者は朝食とオフのみ自宅で食事をとるが、チームでは選手の妻への教育も徹底している。夫人向けの栄養セミナーを年に2回ほど行うほか、花谷さんとLINEのグループで定期的に栄養や献立の相談を行えるようにしている。

 「うちのメンバーは東芝時代からあまり変わらないので、奥さんももちろん変わらない。おかげでかなり充実したものを作ってくれるようになっていますよ。LINE上の『うちの旦那はこれを食べない』なんていうやり取りも、すべて僕のところに落ちてきます」(吉岡さん)。食堂の調理士も選手の好き嫌いや食事量をつぶさにチェックし、吉岡さん、花谷さん、マネジャーらと情報を共有している。

取材日の昼食。豚肉のネギ塩焼き肉丼、モヤシとささみの青シソ和え、キムチキュウリ、味噌汁、サラダ&フルーツバー

 スタッフと家族が一丸となって、選手の栄養をサポートする川崎。吉岡さんは「こうやって周りが管理することが正しいことかは分かりませんが」と前置きした上で、「これだけの環境が整っているチームはおそらくうちだけですし、プロアスリートの栄養知識は圧倒的に足りていない印象です。ここで栄養の知識が増えれば、どのチームに行っても高い意識を持って生きていけるはず。まだまだ手探りではありますが、そういう意識を環境を今後も作っていきたいです」と話した。【青木美帆】

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