<かつお節はアスリート食(下)>

 かつお節はアスリート食の第2回は、だしを上手に使って塩分少なめ、香りの良い食事の作り方です。東京・日本橋で創業318年を迎える株式会社にんべん鰹節食育担当の木村絵里子さんが説明します。

うまみ成分はイノシン酸

 運動量が多く、汗をかくアスリートは塩分が必要なときもありますが、塩分過多は大敵です。100%天然素材のかつお節だしのうまみ成分、イノシン酸をしっかり使えば、塩分を減らした料理を作れます。

にんべん

 日本の3大だし素材といわれる食材は「かつお節」「昆布」「干し椎茸」。かつお節はイノシン酸、昆布はグルタミン酸、干し椎茸はグアニル酸のうまみ成分が含まれています。その中でも、イノシン酸とグルタミン酸の相性は抜群で「合わせだし」として親しまれています。ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」のベースを作っているのが、このだしです。

香り成分は約320種類

 前回のコラム(「ひとふりでアミノ酸ゲット!かつお節はアスリート食」)でもお伝えしたように、かつお節は素材作りに半年以上の歳月をかけていますが、だしはたった1~2分で簡単にとれます。この香り成分は、約320種類(だしでは約100種類)から成り立っていると言われており、これを人工的に表現しようとしても不可能といわれています。

 「食事はまず嗅覚から」といいます。部活や練習で疲れて帰ってきたとき、だしの香りでリラックス。精神的に落ち着くことで、食の細い人は食欲が増すでしょうし、反対にストレスからの食べ過ぎも防げるでしょう。天然素材100%の良い香りと塩分のほとんどない食事を、子どものころから摂って欲しいと思っています。

にんべん

 また、かつお節だしは、和食だけでなく、中華、洋食など何にでも合い、奥深い味わいを出すことができます。水を加えて煮る料理を、かつお節だしに変えるだけです。

 カレーうどんもお蕎麦屋さん風になりますし、ミネストローネやクラムチャウダーも深みが出ます。日々の食事作りにワンポイントプラス。これがアスリートにとって最大のサポートです。「トマトの風味焼き」のレシピを紹介します。

トマトの風味焼き ※「にんべん」のかつお節レシピ(講談社)より
トマトの風味焼き ※「にんべん」のかつお節レシピ(講談社)より

<トマトの風味焼き>
材料(2人分)
トマト…1個
しらす干し…15g
かつお節…5g
ピザ用チーズ…30g
つゆの素(3倍濃厚)…大さじ1

作り方
①トマトは横半分に切って、耐熱容器にのせ、つゆの素をかける。かつお節、しらす干し、チーズをのせる。
②①を電子レンジで2分~2分30秒加熱する。
※レシピは「にんべん」のかつお節レシピ(講談社)より