イタリアのセリエAはサッカーの世界最高峰リーグの1つと言われています。その中でも屈指の名門クラブで、日本代表MF本田圭佑も所属するACミランでシェフを務めるマッシモ・フェッラーリ氏とドクターのマルコ・フレスキ氏に話を聞きました。

ACミランのクラブハウス「ミラネッロ」での食事

植物性タンパク質を多めに

 ACミランでは、監督が代わってもシェフは代わりません。フェッラーリ氏は23年間、ミランの選手のために食事を作り続けています。毎年、シーズン前にドクターと食事について話し合い、メニューを決めていきます。

 まず1週間の練習プログラムを見て、1日1回の練習なのか、2部練習なのか、負荷はどの程度なのかによって食事を決定してきます。ドクターもそれぞれの選手の健康状態、体形を考えて、材料からシェフと一緒に選んでいきます。

 今シーズン初め、選手たちに、朝=ハムエッグ、昼=パスタと肉、夜=パスタと肉もしくは魚、というイタリアでは通常の食事を出していたところ、検査値から動物性タンパク質を取りすぎていることが分かりました。そこで動物性タンパク質を減らし、植物性タンパク質を増やすようにしたとのことです。

 特に昼食を炭水化物と野菜中心にすることにより、消化を良くし、午後の練習に入れます。果糖は血糖値が上がりにくいので、たっぷり取ります。練習前後に、生フルーツを絞ったジュース、季節のフルーツをいつでも取れるように、更衣室などに常備されています。練習後にはドライフルーツやナッツ類など良質の油脂、タンパク質も取ります。「でも選手はそういうものも練習前に取ることが多いね。練習でエネルギーとして使うから」とフレスキ・ドクターは話していました。

野菜をたっぷり取るACミランのルイス・アドリアーノ(右)とエリー

キャンプ中のある日のメニュー

<朝食>
・絞ったオレンジ汁、野菜、フルーツをスロージューサーで絞ったもの。
・豆乳ヨーグルト
・トースト
・ヌテッラ※(ヘーゼルナッツとカカオ味のチョコレート味ペーストで、イタリアでは子供から大人まで大人気)
・ミューズリーもしくは砂糖の入っていないクッキー
・ドライフルーツ
・生フルーツ
・コーヒー(牛乳の代わりに豆乳、米乳)
※最近イタリアでパーム油の入った食事は体に悪いと話題になっています。そのパーム油が使われているというヌテッラも、主原料はヘーゼルナッツであり、パーム油が入っていても大量に食べない限りは、問題ないそうです。

<午前練習の後>
 絞ったオレンジ汁、ブルーベリーとショウガを別々にスロージューサーで絞ったものを置いておき、選手それぞれが好みにブレンドして飲む。ブルーベリーは酸化防止、ショウガは炎症を防ぐ。フルーツ、ドライフーツも。

<昼食>
・カムットのパスタ(カムットは普通のパスタと比較してタンパク質が多い)もしくはリゾット、スペルト小麦のサラダ(ズッキーニ、ミニトマト、エキストラバァージンのオリーブオイルで合えたもの)などから1品
・野菜のハンバーグ(ポテト、インゲン、パプリカ、トウモロコシを茹で、混ぜてハンバーグのように焼く)
・ナス(衣をつけ、フライパンで焼いたものをさらにオーブンで焼く。油の使用量を減らすため)
・フルーツ
・フルーツジェラート

食堂に置かれた野菜のビュッフェ

<午後の練習>
 練習中、練習後は絞ったフルーツジュース、ドライフルーツ、バナナなど自由に取る。

<夕食>
・パスタ(生のトマト、バジリコ、ズッキーニなどあっさり味)もしくは豆スープから1品
・鳥、ターキー等の肉、魚
・牛、子牛肉(1週間に2回)
・フルーツまたはジェラート

本田はシンプルパスタ好き

 気になる本田の好物料理を聞いてみたところ、「スパゲッティ・イン・ビアンコと鳥の胸肉の香草焼きなど。野菜は多く食べるタイプの選手だね」とシェフ。スパゲッティ・イン・ビアンコとは、スパゲッティを茹でただけで、エキストラバージンオリーブオイルとパルミジャーノ・レッジャーノチーズをかけて食べるシンプルなパスタです。ドクターによると「このシンプルパスタに茹でた野菜を少々加えたメニューを出すことが多いね」とのことです。

 また、フレスキ・ドクターは13歳~18歳という育ち盛りの子供たちに向けてアドバイスをくれました。「食事管理は、時々はみ出してもいいんだよ。スナックやできあいの菓子はなるべくやめたほうがいいけどね。友達とファストフードに行っても今はサラダや野菜の多く入ったメニューがあるからそれを選ぶようにすればいい。この年齢は、エネルギーで消費できるからあまり考えすぎなくて大丈夫」とのことです。

 ミランの食事は、最新の研究で体に良いといわれる素材はどんどん取り入れ、良質のものをシンプルに調理し、消化しやすい形で取っているという印象を受けました。ドクターは「食事に注意をしている選手はコスタクルタ、ピルロのように選手生命が長い」と話します。名選手は、やはり食事の重要性を理解しているということですね。

ピルロが大好き、シェフお得意のレシピ

削ったジャガイモ

 フェッラーリ・シェフが、お得意の「ポテトのロスティ」のレシピを提供してくれました。肉や魚の付け合わせに良さそうです。実はイタリア代表だったMFピルロがミランからユベントスに移籍した後、「ユーベのシェフはこれを作ってくれないからレシピを教えて」と連絡してきたほど好きだったそうです。

ACミランのマッシモ・フェッラーリ・シェフのポテトロスティ

■ACミランのフェッラーリ・シェフのポテトロスティ
<材料>
・ジャガイモ(2個)
・パルミジャーノ・レッジャーノ(削ったもの大さじ5)
・バジルの葉(2枚をみじん切り)

<作り方>
(1)ジャガイモを固めに茹でて削る。
(2)ポテトと残りの材料を混ぜ合わせ、小さなフライパンで焼く。

【パルマ在住・西村明美イタリア通信員】