明大相撲部特製 しょうゆちゃんこ

 お相撲さんの食事といえば、ちゃんこ鍋。明治大学相撲部も、ちゃんこ鍋は定番料理だ。

 相撲部は、体育会の中でも一風変わった食生活を送る。選手14人で平均体重は120キロ。朝9時に始まる練習前には食事を取らず、選手の体は、昼食と夕食の2食から作られる。その中でちゃんこ鍋は、「合宿」と呼ばれる練習強化期間や日曜日など、部員全員がそろって食事を取る際の定番メニューとなっている。

 一般的な料理よりも、濃い味付けなのが特徴。相撲部にとっての食事は空腹を埋める役割だけでなく、商売道具の体を作るための大事な時間でもある。そのため、一番食べるのが白米。特に増量に励む下級生は「一食で10合食べていますよ」と話すほど。大量のご飯をかき込めるよう、ちゃんこ鍋の味も濃いのだという。

ちゃんこ番が「感覚」で調理

 部のちゃんこ番は田原勇也(3年)。入学前の調理経験はないが、ケガのために料理係を任された。料理が得意な父にアドバイスを求めたり、インターネットサイトで調べたり、自分なりの作り方を研究してきた。

 具材は一般的な鍋料理と同じで、ニンジン、大根、白菜、長ネギ、ニラ、シイタケ、エノキ、鶏肉。これを食べやすい大きさに切って入れるだけ。味付けはみそ、塩、しょうゆなど定番のものから、みそキムチ味、豆乳鍋などバラエティに富んでいる。

 一番人気はしょうゆちゃんこ。ちょうど両腕で抱えられるほどの大きな鍋に、しょうゆを5周回し入れる。加えて本だし、ガラスープ、みりんで味つけをしている。「切り方とか火加減とかは気にしたことがない」と、田原は「ほぼ感覚」で作り上げるが、腕前は選手だけでなく、監督たちからも好評だ。【明大スポーツ新聞部】

「おばちゃん」が食卓の支え
岩長さんが作る栄養満点のおかず

 ちゃんこ鍋以外の料理を作るのは、選手から「おばちゃん」と呼ばれる岩長禮子さんだ。10年前から大学のスポーツ振興事務室の職員として、週5日、相撲部寮に通って1人で調理を担当。主婦としての経験を生かし、レシピや献立はすべて自分で考えている。

 この日は酢豚、鶏肉と大根の煮物、豚肉ともやしの炒め物、サラダ、かき卵汁という品目が並んだ。家庭料理が中心で、地方から上京してきた選手が多い相撲部にとって、うれしいメニューになっている。

 自転車に乗っての買い出し、食費もやりくりする岩長さんは、栄養のためになるべく野菜を使おう、選手たちに喜ばれる肉を入れてあげようと「チラシとにらめっこです」と笑顔を見せる。「料理するのは楽しい。料理だけじゃなく、学生さんたちとお話ができるのも楽しいです」。

管理栄養士・山崎みどりのコメント

相撲は、他のスポーツ以上に体を大きくすることが必要で、食べることもトレーニングのひとつです。たくさん食べなければいけないので、食べ方に工夫が必要ですが、「味を濃くするために醤油を多くする」と塩分が高くなるので、豚肉やシイタケなど出汁となる食材をうまく使い、調味料の工夫ができると良いと思います。