前回のコラムでは、月経に関する諸症状について、婦人科ではどんな検査をするのかを紹介しました。今回はどんな治療をするのか、私が勤務している順天堂大学医学部附属順天堂医院・浦安病院の「女性アスリート外来」の例を取り上げていきます。

症状や原因を見て治療法を選択

診察を行い、選手の皆さんが受けた血液検査、骨密度測定、超音波検査といった様々な検査結果を見て、医師がその選手にとって最良な治療法を選んでいきます。例えば、血液検査からは女性ホルモンの値や年齢、無月経の場合はその期間、子宮の状態、栄養状態、骨の状態など、選手の身体の状態を総合的に判断し、必要があればホルモン療法を行うこともあります。

エストロゲン(卵胞ホルモン)がある程度分泌されており、子宮内膜の状態から月経が発来しそうな場合、体重減少性無月経、原発性無月経でも年齢が低い場合は、ホルモン療法をとらず、体重を増やして健全な発育状況に戻るように「栄養状態の改善」が中心になります。エストロゲンの分泌が芳しくない場合で無月経期間が長い場合や骨密度が低い場合、20歳を過ぎているなど年齢的にも早急な治療が必要な場合は、状態に応じてカウフマン療法(正常の月経周期や女性ホルモン環境を人工的に作り出すホルモン療法)やピルの処方をします。

血液検査や体組成、骨の状態などから「エネルギー不足」が見られる場合は、薬とともに栄養状態の改善を行います。月経困難症やPMS(月経前症候群)の治療も同様に、栄養状態の改善やピルを処方します。

ホルストローム療法、カウフマン療法

治療法の中で、ホルストローム療法、カウフマン療法があります。これらは女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲンを別々に補充する方法で、エストロゲンの分泌量によってホルストローム療法とカウフマン療法に分かれます。カウフマン療法でよく行われるのが、まずプロゲステロンを投与し、その後エストロゲンを補充して月経を発来させます。

ホルムストローム療法、カウフマン療法ともに3カ月間で3回の治療を1クールとし、その後1~2カ月間の休薬期間を設け、月経周期が正常に戻ったかどうかを判定します。休薬期間中に月経異常が改善していなかった場合は、再度治療を繰り返すというものです。

ホルストローム療法、カウフマン療法の治療サイクル

ピルにも様々な種類、「避妊薬」ではない

「ピル」というと「避妊」のイメージが先行していますが、プロゲステロンとエストロゲン両方の女性ホルモンを含む合剤です。エストロゲンの配合量によって「超低用量」「低用量」「中用量」などがあり、「超低用量」「低用量」は月経困難症やPMSなどの治療に、「中用量」は月経移動に使われることが多いようです。それぞれ適用できる症状によって医師がチョイスします。

ピルの種類

飲み方も、28日~72日と個人に合わせて期間を決めることができます。1シートは21日タイプと28日タイプのピルがあり、21日タイプは1シートに21錠のホルモン剤が入っており、21日間ピルを服用した後、7日間は服用しないというものです。28日タイプは「プラセボ」という偽薬が含まれているタイプのピルで、1シート21錠のホルモン剤と7錠の偽薬が含まれています。

ピルの副作用、怖いのは血栓症

ピルには副作用がある場合があります。不正性器出血、悪心 、頭痛、下腹部痛 、息切れ、体重増加、乳房緊満感、肝機能異常、浮腫、過敏症、発疹などが生じた場合は、我慢して飲むことはありません。薬の種類などを変えることができるので、遠慮せず医師に相談しましょう。

ピルの副作用として、まれに「血栓症」があります。血液が固まりやすくなるので、服用中は水分摂取を十分に行い、脱水しないように注意しましょう。また、血液検査では定期的に血栓症の指標である「Dダイマー」を測定することをオススメします。

手軽なネット購入、オンライン治療はリスクも

最近、オンラインでピルが買えるようになっていますが、これは「避妊」を目的にしたものが多いようです。オンラインで診察するところもありますが、手軽な反面、直接検査を受けることはできません。月経移動も含め、きちんと医師の診察を受けて自分にあう方法で治療をした方が良いと思います。

私は婦人科の医師ではないので、当院でやっていることしかお話しできませんが、少しでも参考になればうれしいです。

今回紹介するのは「豆腐入りふわふわカニシュウマイ」です。鶏ミンチと豆腐で作る低脂質、高タンパク質のおかずです。

シュウマイは皮に包むのが面倒なので、今回は皮の代わりにカニ風味かまぼこをフレークにして、周りにつけてみました。比較的簡単に作れ、見た目もかわいらしくなり、思わず手が伸びる一品です。

女子アスリート/管理栄養士・佐藤郁子