日本では、このところ各地で地震が相次ぎ、異常気象による災害も季節問わず発生している。災害大国となった日本では、いつ、どこで、何が起きてもおかしくない状況だ。

 そんな中、防災備蓄食品、防災用品等の企画、販売を手がける「ユニーク総合防災」では、これまでの長期保存食に、さらにアレルギー対応が可能な商品を、かつお節の老舗メーカーにんべんと共同開発した。

「だしがゆリゾット風トマト味」(左)と「だしがゆリゾット風カレー味」。どちらも食物アレルギー特定原材料等27品目不使用
「だしがゆリゾット風トマト味」(左)と「だしがゆリゾット風カレー味」。どちらも食物アレルギー特定原材料等27品目不使用

 同社の池上一彦会長は「当社が防災備蓄品を納めている複数の学校から、アレルギー対応の非常食を望む声がありました。だれもが安心して、しかもおいしく食べられる非常食を作りたかった」と開発の経緯を話した。

 「おいしさ」にこだわったのは、東日本大震災の避難所で「非常食がおいしくない」という声を聞いたから。「日本人がホッとする『和風だし』なら誰でもおいしく感じるのかなと。しかも絶対の信頼感があるにんべんさんにお願いすれば、必ずおいしいものができる」と、池上会長自ら、にんべん本社に出向いて提案した。

6年間の長期保存

 にんべん経営企画部業務用企画グループ課長の麻生雅志氏は、今回のアレルギー対応非常食を開発するにあたり「当社ではアレルギー対応食を作ることには慣れているのですが、6年の長期保存を実現させるのに苦労しました」。非常食は3年保存商品が多い中、池上会長は、小学校や中高一貫校に合わせた6年ひとくくりで、6年長期保存にこだわったのだ。

アレルギー対応非常食を開発した、ユニーク総合防災会長の池上一彦氏(左)とにんべん経営企画部業務用企画グループ課長の麻生雅志氏
アレルギー対応非常食を開発した、ユニーク総合防災会長の池上一彦氏(左)とにんべん経営企画部業務用企画グループ課長の麻生雅志氏

 アスレシピ編集部でも「だしがゆリゾット風カレー味」と「だしがゆリゾット風トマト味」を試食してみた。水や湯は不要。常温のまま、封を開けるだけで食べられる。どちらも食べた瞬間に「おいしい!」の一言。噛みごたえも若干あるので、食べた感はある。ふつうにレトルト食品として家に常備したいほどだった。うす味なので、離乳食にもなり、高齢者でも安心して食べられる。やはり、だしの風味が、心を和ませてくれる。

 リゾット風だが、後味もスッキリで、カレー味でも食べた後に水を飲みたいとも思わない。被災した時には、一口の水も大事。食べた後にのどが渇かないように、味への気遣いもしているという。

「だしがゆリゾット風トマト味」(左)と「だしがゆリゾット風カレー味」。おかゆだが、米粒状も入っていて噛みごたえもある
「だしがゆリゾット風トマト味」(左)と「だしがゆリゾット風カレー味」。おかゆだが、米粒状も入っていて噛みごたえもある

 今回の豪雨では、浸水や土砂崩れで避難所に行く手段がたたれてしまい、自宅での被災生活を余儀なくされている方も多い。

 備蓄食というと、水、乾パン、乾麺などを思い浮かべるが、これまでの非常食のイメージを覆す商品が多数開発されている。今一度、家族を守る備えを確認しみてはどうだろう。【アスレシピ編集部】

■防災備蓄に関するサイト

【首相官邸】災害に対するご家庭での備え これだけは準備しておこう!
https://kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html
【トクする!防災(日本気象協会)】備蓄の心得
https://tokusuru-bosai.jp/stock/stock.html