1日にどのくらい鉄を摂取しているか、10代から20代の学生やプロのテニス選手数十人の摂取量を調べました。日本人の栄養摂取基準(2020年版)によると、1日における鉄の推奨摂取量は18~29歳の男性では7.0㎎、18~29歳の女性(月経あり)は10.5~13.5mgですが、テニス選手は練習で増加する血流、発汗、尿などを考慮して15mgは必要と考えます。

独自で行った調査によると、男女とも平均値で見たところ、大きく足りていないという結果になりました。

以下のグラフのように、男子は平均で、必要量の3割程度しか摂れていないという非常に低い数値。女子はそれより上回っているものの6割程度。いずれにしても鉄は意識しなければ、必要量を満たしづらい栄養素であることが分かると思います。

女子は月経もあることから、意識している選手が多いのに対し、男子は意識が少ないのかもしれません。鉄が不足すると、疲れやすく、持久力がなくなり、頭痛や食欲不振にもなります。

鉄はテニス選手をはじめ、アスリートにとって重要な栄養素です。基本の食事を見直しましょう。

鉄の重要性をもう一度確認

今一度、鉄とはどういう栄養素なのか、復習です。鉄は、主に動物性食品に含まれるヘム鉄と、植物性食品に含まれる非ヘム鉄があります。ヘム鉄は体内吸収率が比較的良いですが、非ヘム鉄は吸収率が良くありません。それでもビタミンCと一緒に摂ると、吸収率が上がります。またお茶やコーヒーに含まれるタンニンは鉄の吸収を阻害するので、食事中や食後にすぐ飲むのは控えた方が無難です。

今回は、アサリ缶を使って手軽に作れる「アサリたっぷりスタミナスープ」を紹介します。鉄が豊富なアサリと、ビタミンCの多い野菜を一緒に摂れる、鉄の吸収率をアップさせるレシピです。

このレシピで鉄が10.5mgも摂れます。他の食事の際にも鉄を含む食品をとれば、テニス選手として必要な量を十分満たせることになります。ぜひ、お試し下さい。

管理栄養士・山口美佐