「健康のために野菜を食べよう」と生野菜サラダを食べている方は多いのではないでしょうか。厚生労働省が提唱する健康づくりの指標「健康日本21」では、「野菜を1日350g(そのうち約120gは緑黄色野菜から)」摂りましょうと推奨しています。350gというのは、だいたい大人の両手いっぱいに乗るくらいの量で、小鉢で約5杯分の量になります。

サラダを食べるとき、味付けはどのようにしていますか。カロリーが比較的、控えめだというイメージがある「ノンオイルドレッシング」を購入している人もいるでしょう。ただし、スーパーには様々な種類のドレッシングが並んでいるので、何を選んだらいいか迷うという人もいるのではないでしょうか。

今回は調味料やドレッシングを選ぶとき、何を基準にしたらいいか、お話ししていきます。

食品表示を必ず確認する

購入する際は、容器の裏面などにある食品表示を必ずチェックする習慣をつけましょう。

サラダなどにかける調味料の名称は「ドレッシング(※)」と「ドレッシングタイプ調味料」に分けられます。「ドレッシング」は「半固体状ドレッシング」「乳化液状ドレッシング」「分離液状ドレッシング」に、さらに「半固体状ドレッシング」は「マヨネーズ」「サラダクリーミードレッシング」「その他の半固体状ドレッシング」に分類されます。ノンオイルドレッシングは、「ドレッシングタイプ調味料」のうち、100gの脂質量が3g未満のものに限り表示することができます。

原材料は使用量の多い順

原材料は、食品表示法によって使用量の多い順番に記載されています。

ドレッシングの商品表示比較(一部加工)
ドレッシングの商品表示比較(一部加工)

ノンオイルでないドレッシングの材料の約半分は油なので、1番最初に「食用植物油脂」などが表示されます。油は1gあたり9kcalなので、大さじ1(15g)のドレッシングで約60kcalもあるわけです。

では、油を使っていない「ノンオイル」ならその分、エネルギーが少ないのでしょうか。実はそう単純ではなく、糖類が多かったり、増粘剤が含まれたりしているものがあります。

ノンオイル、油の代わりの糖類とは

増粘剤とは、でんぷんを加工して作られたキサンタンガムやカラギーナン、ペクチン、グアガムといった粘度のある多糖類で、調味料に粘度をつけ、調味料を安定した状態に保つ働きを持つものです。多くは水溶性食物繊維に含まれ、安全性が高いものではありますが、ノンカロリーではなく、糖質に近いエネルギー量のものもあります。

また、油を使わない分、コクや甘味を補うために砂糖だけでなく、甘味の強い果糖ブドウ糖液糖といった異性化糖がよく使われています。エネルギーはオイル入りドレッシングより低くても、血糖値が上がりやすくなるので、糖尿病の方は注意が必要です。他にも様々な調味料が使われ、糖分や塩分が多くなっている場合があります。

マヨネーズは体に悪いものなのか

一方、マヨネーズには「高カロリーで体に悪い」というイメージがあるかもしれません。主な材料は植物油、卵、酢、これに食塩などで味を調整しています。材料の約7割が油にもかかわらず、さっぱりした口当たりのため、量を使い過ぎて高カロリーになってしまうことや、卵(卵黄、全卵タイプがある)を使用しているため、コレステロールの含有量が多いと思われているのでしょう。

日本食品成分表(八訂)によると、マヨネーズは100gあたり669kcalです。大さじ1杯(14g)で94kcalと確かに高カロリーで、大さじ3杯で高脂肪アイスクリーム(205kcal)1個分以上のカロリーがあるのも驚きです。

しかし、食塩相当量は大さじ1杯で0.3gと他のドレッシングや調味料に比べて少なく、塩分制限をしている人にとっては良い調味料です。腎臓病で塩分を制限しつつ、エネルギー摂取量を増やさなければいけない人にはおすすめしている調味料ですし、嚥下困難のある高齢者向けの食事として、とろみ剤の代わりに和物などに使われることもあります。

マヨネーズでも「カロリーハーフ」といった商品になると、ノンオイルのドレッシング同様に増粘剤が入っています。増粘剤を使わず、油も少ないドレッシングは、タマネギやニンジンのすりおろしなどの食材のとろみや甘みを生かして作られていますが、賞味期限が短いというのが難点です。

料理に合わせて、ドレッシングもおいしく楽しみたいものですが、食材の風味を生かすために薄味を心がけ、使用量を少なくする方が安心です。健康を意識して野菜を食べても、その分、調味料で余計なエネルギーをとってしまったら本末転倒です。適量を意識しましょう。

※「ドレッシング」の食品表示
ドレッシングは食品表示法に基づく「食品表示基準」で大きく3つに分けられます
(1)半固体状ドレッシング…固体でも液体でもない一定の粘度(とろみ)をもったもの。これはさらに、マヨネーズ、サラダクリーミードレッシング、その他の半固体状ドレッシングの3種類に分けられる
(2)乳化液状ドレッシング…ドレッシングのうち、乳化液状(油と水分が混ざった状態)のもので、粘度が半固体状ドレッシングに達していないもの
(3)分離液状ドレッシング…ドレッシングのうち、分離液状(油と水分が分離)のもの

管理栄養士・今井久美