滋賀医科大学などの研究グループは、20~74歳の男女23万人超のデータを年代別に解析し、30代以上においてHbA1c値や空腹時血糖値が高い高血糖の人ほど、歯の本数が少ない傾向があることなどを、このほど明らかにした。空腹時血糖値の高い糖尿病予備群の段階でも、歯数が少なくなる傾向があり、さらに高血糖と喫煙の条件が重なると、歯を喪失するリスクはより高まることが分かったという。

歯周病は、歯を失う原因として最も多い。これまでの研究でも糖尿病の人は、血糖コントロールが不良であるほど歯周病になりやすく、歯の本数が少ないことが指摘されてきたが、年代別での大規模調査はなかった。

この研究発表によって、糖尿病と診断されたり、糖尿病予備群と指摘された人は生活習慣を見直し、血糖コントロールを改善するのとともに早期に歯科検診を受け、口の中のケアを行い、歯周病やむし歯の予防や治療を積極的に行うことも重要であると示された。

研究グループは、定期健康診断の結果と医療機関の診療情報(診療報酬明細書=レセプト)をもとに、血糖コントロール指標と歯の本数の関係を年代ごとに分析した。

その結果、30代以上の年代で、1~2カ月の血糖値の平均を反映するHbA1c値や、空腹時血糖値が高いほど、歯の本数が少ないことが明らかになった(図1、2)。40~60代においては、糖尿病型(空腹時血糖値126mg/dl以上)だけでなく、糖尿病予備群(空腹時血糖境界型110-125mg/dl)も、正常血糖群に比べて歯の数が少ないことが示された。

中年期(40~59歳)においては、高血糖(HbA1cや空腹時血糖値が高い)と喫煙の条件がそれぞれ単独で該当する群は、両条件とも該当しない群(正常血糖と喫煙なし)に比べて、歯の本数が24未満になるリスクが高く、両条件が重なる群(高血糖+喫煙、糖尿病予備群+喫煙、糖尿病型+喫煙)ではさらにリスクが高いことが示された(図3、4)。

また、HbA1c高値群(HbA1c≥7.0%以上)は低値群と比べて多くの部位の歯を失っていたが、特に下顎大臼歯(奥歯)を失った人の割合に大きな差があることも分かった。