<スポーツする人の栄養・食事学/第2章 スポーツをする人はなにをどう食べたらいいのか(1)>

体に必要なエネルギーや栄養素は、食べることでしか摂取されません。したがって、どのように食事をとるかはきわめて重要です。本章では、スポーツをする人にとってさまざまなケースでの食事法、望ましい食生活について解説します。

Q、ふだんからこまめに食生活をチェックすることは、なぜ必要なのですか?

A、食生活を記録しチェックすれば、自分の食事の傾向が分かり、問題点を改善するための食事計画を立てるうえで重要なデータとなります。さらに、体重や体脂肪率の測定記録と組み合わせれば、食事や栄養素のコントロールにつながり、試合や長期的な練習の計画作成にも役に立つからです。

自分自身の行動や体の変化を観察し、記録し、整理し、評価することを「セルフ・モニタリング(自己観察)」といいます。それによって、自分が目標にどのくらい近づいているかを客観的に把握でき、問題解決の糸口が見えてきて自己強化にもつながります。自分で自分を制御する、セルフ・コントロールができるようになれば、自分が変化し、目標を達成した後のコンディションレベルを維持できる確率も高まります。

毎日、体重と体脂肪率を測定し、その変化とともに練習の内容や体調を記録しているアスリートは数多くいます。それが、試合や長期的な練習の計画作成に役に立つからです。

それだけでなく、毎日の3食分に加えて、口にしたものすべてを細かく記録しているアスリートもいます。そうすれば、自分の食事の傾向が分かり、もしなにか問題があればそれを改善するための食事計画を立てるうえで重要なデータにもなります。

体重や体脂肪率の測定記録と、食事の記録を組み合わせれば、自分の体はどういう食事をしたときに体重や体脂肪率が増え、どういうときに減るのかが把握でき、食事や栄養素の摂取のコントロールにつながります。

ジュニア選手は発育曲線も確認

特にジュニア選手の体は、日々成長していて、はたして健全な発育曲線に沿っているのかどうかは気になるところです。もし、発育曲線から大幅にずれているようでしたら、いったいなにが原因なのかを突き止めなければなりません。そのためにも、日々の体重、体脂肪率、食事のセルフ・モニタリングは欠かせません。

たとえば、「食事のセルフ・モニタリング表」を使って、朝食・昼食・夕食ごとに、食事の基本スタイルである「主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物」が全部そろっているか、なにが欠けているか、補食としてなにをどのタイミングで食べたかや反省すべき点、そしてその日の練習の有無などを毎日記入していきます。

それを見て、とりすぎのもの、不足しているものがあれば、1週間のなかで調整するようにします。1週間たったら、自分の目標がどれくらい達成できたか、「できた・まあまあできた・できなかった」といった3段階でチェックしてみましょう。

己を知るには、記録するのが一番です。面倒がらずにこまめに記録を取る習慣を身につければ、自己管理能力は必ず高まり、スポーツに適した体がつくられていきます。

(つづく)