令和4年度の国民健康・栄養調査が発表されました。コロナ禍では調査が中断されていたため、令和元年以降3年ぶりの調査結果です。調査結果を見ての大事なポイントをまとめました。
調査結果の概要
●身体の状況
男性の20歳以上の肥満者(BMI≧25kg/m2)の割合は31.7%で、直近10年間で有意に増加(女性の肥満者は21.0%で、有意な増減はみられない)。
●栄養・食生活に関する状況
20歳以上の野菜摂取量の平均値は270.3gで、直近10年間で男女とも有意に減少。
●身体活動・運動に関する状況
20歳以上の歩数の平均値は男性が6465歩、女性は5820歩で、直近10年間で男女とも有意に減少。
令和元年より歩数減少、特に男性
ここで注目したいのが「歩数と肥満の関係」です。
令和元年の20歳以上の歩数の平均値は、男性が6793歩、女性は5832歩だったので、男性の減少数の方が大きく、特に65歳未満の男性の歩数は減少しています。
運動習慣のある人の割合は、コロナ禍で一旦低下したものの、その後回復し、男女とも有意な増減はみられません。コロナ前から歩数は減少傾向でしたが、コロナ禍以降、在宅勤務や打ち合わせをオンラインで行うことが増えたため、外出の機会が減って歩数が減っていると考えられます。
摂取エネルギーの変化はほとんどないため、歩数減少による肥満が増えたということでしょう。男性に特に顕著なのも、そのためだと思われます。
生活習慣病の変化
糖尿病、高血圧、脂質異常症の3大生活習慣病について、糖尿病は直近10年で変化はありませんでした。収縮期(最高)血圧の平均値には変化はありませんでしたが、140mmHg以上(高血圧)の者の割合は、男性では有意な増減はみられないのに対し、女性では有意に減少しました。
血清non-HDLコレステロール値(総コレステロールからHDLコレステロール(善玉コレステロール)を除いた値、基準範囲は90~149mg/dL)の平均値は、男女とも有意に増加しており、脂質異常症、または予備軍が増加傾向です。
栄養摂取状況や歩数、運動習慣との関係については分析されていませんが、食塩と野菜の摂取量が男女とも有意に減少していることから、脂質異常症または予備軍が増加しているのは、「肥満の増加」「歩数(活動量)」や「野菜摂取量の減少」が影響しているのではないかと推測できます。
特に、20代では運動習慣がある者の割合が低く、野菜摂取量も少ないことがわかりました。肥満は30代から増加するため、20代の健康への意識をいかに高められるかが課題です。
睡眠が十分でない割合も増加
また、睡眠で休養が十分にとれていない者の割合は、平成21年からの推移でみると男女とも有意に増加しており、平均睡眠時間が6時間未満の者の割合は、男性の30~50歳代、女性の40~60歳代では4割を超えています。睡眠時間が短いと肥満の割合が増加し、血圧や血糖値も上昇します。
今回の調査結果を見て、野菜摂取、歩数を増やす、睡眠時間を確保することを心がけることが重要だと思いました。
参照:厚生労働省「令和4年国民健康・栄養調査結果の概要」