総務省統計局の調査では、日本人の1カ月の食費は4人家族で約9万700円、1人暮らしで約4万2000円(「家計調査」2023年」)です。食材費の高騰により食費も上がっていますが、 他国に比べて日本は外食費が安く、コンビニエンスストアや深夜営業のスーパーも多く、惣菜も手軽に購入できる環境です。

元気なときは気付きませんが、病気になり、仕事ができない状況になると生活は一気に困窮します。自営業者は打撃が直撃します。会社員は短期間であれば、雇用を維持しつつ休職することも可能ですが、仕事を継続できなくなると退職せざるをえなくなり、収入源がなくなります。体に支障が残ると生活の質も低下します。

そういうことにならないことを、誰もが願っていますよね。健康を維持しながら病気を予防するには、毎日の食事を含めた生活習慣が大切になってきます。

将来、大病を患わないことが、結果的に無駄なお金を使わないということになりますが、予防のためにサプリメントや健康食品に意識を向けるのは早計です。食事から栄養をとることが基本。食材から必要な栄養はとれるのです。

どんな食材をどのように選んだらいいのか、日々の買い物の仕方などのポイントを次に掲げます。

外食より自炊が経済的にも栄養的にも◎

自炊する際の食材の選び方は、以下を参考にしてください。

1、 質の高い食材を選ぶ

一般的に、栄養価の高い食材は価格が高いことが多く、新鮮な魚や全粒穀物などは、加工食品やジャンクフードに比べると割高です。しかし、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、食物繊維などが豊富ですので、ある程度の食費をかけても質の良い食材を選ぶことは大切です。

2、安価でも栄養価の高い食材を利用する

その中でも大豆製品、卵、旬の野菜などは比較的安価で栄養価が高い食材です。冷凍野菜や缶詰の魚類なども、安価で栄養価が維持されている場合が多いので上手に使いましょう。

3、計画的に買い物をする

計画的に買い物をすることで無駄を減らし、食費を節約できます。まとめ買いや食材の保存方法に気を遣い、余らせて無駄にしない工夫をすることで、出費を抑えることができます。献立作成に時間のかかる人や食材の量がわからない人は、献立が決められていて必要な食材を宅配してくれるミールキットを利用するのも良いでしょう。

4、サプリメントは費用対効果として見合うのか

ビタミンやミネラルなどをサプリメントで補うこともできますが、食材から摂取する方が効果的です。サプリメントは価格が高い場合があり、食品から摂る場合に比べてバランスが偏ってしまうこともあります。日々の食事からバランスの取れた栄養を摂る方が、食費を有効に使うことができます。

レストランでの外食やファストフードは手軽で便利ですが、塩分や糖分、脂肪が多く含まれていることが多く、健康に悪影響を与える可能性があります。また、外食費は積み重なると高くなることが多く食費が増える一因となるため、自炊を心がけましょう。

時短・簡単を実現するための調理器具

自炊は時間と手間がかかり、仕事や家事、育児に忙しい人は、できる限りかける時間を減らしたいところです。買い物の頻度を減らす、ネットスーパーを利用する、便利な調理家電を活用する、使う調理器具や食器を減らし、片付けを簡単にすることで時間短縮できます。

次に挙げる調理家電は、ある統計データで「30歳以上の女性が買って良かった」と思っているものです。

1、エアフライヤー

油を使わずにカリッとした揚げ物が作れます。使い勝手の良さや片付けの簡単さもポイントです。

2、電気圧力鍋

短時間で煮込み料理やカレーなどができます。手軽に本格的な料理が作れます。

3、ホットクック(自動調理鍋)

具材を入れてボタンを押し、放置している間に美味しい料理ができます。調理途中に自動でかき混ぜてくれるタイプもあります。

4、スチームオーブンレンジ

蒸し料理や、パンの発酵・焼き物まで幅広く使えるオーブンレンジです。ふっくらとした仕上がりで油脂を減らすことも可能です。

5、ハンドブレンダー

スープやスムージー、離乳食、ソース作りまで多用途に使えます。洗いやすいタイプが人気です。

これらの調理器具を「便利だから」と購入しても、使う頻度が少なかったり、収納の場所がなかったりすることもあります。活用しなければ無駄になりますので、日々使うものなのかを吟味し、使いやすいのか、デザインが気に入ったものを選ぶことも大事です。

管理栄養士・今井久美