スポーツ選手はもちろん、そうでない人も体重管理は長年の課題です。食事に気をつけているのにやせないという人は、気をつける順番が間違っているのかもしれません。

「やせる」ための情報があふれている現在、人は、自分にとって都合の良い情報を有意義な情報だととらえやすいものです。例えば、「〇〇を食べてやせた」「△△をするだけでやせる」といった簡単で手軽な方法は拡散されやすく、「有名人がこの方法でやせた」「最新の研究で証明された方法」などの前書きがあると、認知バイヤスによって信憑性が高い情報だと思われがちです。

増やしてやせる方法はない

基本的に、摂取量を増やしてやせる方法はありません。野菜を増やすことでご飯が減った、果物を増やすことで菓子が減ったなど、食品を代替したことで摂取エネルギーが減ってやせることはありますが、「〇△飲料を飲んでやせた」というような追加摂取でやせることは、健康な人においてはほとんどありません。

家計管理に似ている体重管理

体重管理は家計管理に似ていると考えています。摂取エネルギーと消費エネルギーを把握し、体重を常にモニタリングしながら大きな収支から手をつけることが大切です。手軽なダイエットはおすすめできません。健康を損なう恐れがあります。

ちまたにあふれる情報に惑わされず、体重を管理するための基本をしっかり頭に入れておきましょう。

優先すべきはエネルギー

糖質制限、脂質制限、エネルギー制限などダイエットの方法は色々ありますが、18カ月の比較研究では、糖質も脂質もエネルギー制限でも結果に差がありませんでした。結果として、その人の食事傾向から摂取が多いもの(ご飯量が多い、揚げ物が多い、おかず量が多い、間食が多い、アルコールが多いなど)を分析し、多いものを減らすことが最も早く効果が出るということです。

特に血糖値や中性脂肪が高めの人の多くはどの方法でも健診結果で改善します。ただし、糖質を全く摂らないなどの極端な制限は危険です。

回数を減らすか、1回量を減らすか

食事の回数を減らすか、1回の量を減らすか、どちらが効果的かというと、まずは1回の量を減らすことが有効です。摂取エネルギーを20~30%減らすと、動物では長寿に、人では心血管系疾患の発症リスクが低減、腫瘍の発症及び進行を抑制するなど、好ましい研究結果がいくつもあります。

断食や絶食の効果を証明する報告も多数ありますが、1日のうちに16時間程度はものを食べないといったような間欠的絶食をする場合は、食べて良い時間のエネルギー摂取量が超過しないよう注意も必要です。

運動での消費エネルギーを把握する

「運動を始めたが体重が減らない」「運動を始めて食欲が増して体重が増えてしまった」という話はよく聞きます。70kgの人が早歩きで1時間ウォーキングした場合の消費エネルギーは約200kcalですが、ビール500mlや炭酸飲料500mlを1本、スポーツドリンクを1L飲めばエネルギー収支は0です。アイスクリームを食べれば、摂取エネルギーの方が多くなることもあります。「運動したからご褒美」は今必要なのか、よく考えてとるようにしましょう。

サプリメントを安易にとらない

「やせる」「体に良い」とPRされる食品やサプリメントは、次のことを理解した上で摂取しましょう。

・どんな成分がどのように有効なのか
・摂取することでデメリットはないのか
・試験管や動物実験ではなく、人間が摂取して有効だと証明されているか
・長期に摂取して安全か

薬でない限り、有効成分の効果は大きくはありません。摂ることによってエネルギーが増え、逆にダイエット効果がマイナスになる場合もあります。体に良いと言われる成分やサプリメントは、体重管理ができた上で考えることで、摂ればすぐに効果があるわけではありません。それに費やすお金も無駄になることがあります。

「なんとなく良さそう」「お手軽、簡単そう」と安易なダイエットは、実はデメリットの方が大きいこともあるので気を付けてくださいね。

管理栄養士・今井久美