皆さんは自然災害に遭ったときのために、十分な食糧を備蓄しているでしょうか。

気候変動やヒートアイランド現象などの様々な要因により、日本の気温は上昇傾向にあるため、ゲリラ豪雨(局地的大雨)が増えています。台風の時期には線状降水帯(次々と発生する積乱雲が列をなし、同じ場所を通過・停滞することで、線状に伸びた地域に大雨を降らせるもの)の発生も増えており、大雨による水害は増加しています。

災害は台風など予測できるものと、地震など予測できないものがあります。どちらにせよ、緊急事態ですので、予測できない状況になる場合があります。

食材の入手が困難になった場合、ライフライン(水道、ガスや電気)が止まった場合、避難しなければいけなくなった場合など、様々な状況を想定して準備しておくことが必要です。今回は「食材備蓄のポイント」を8点お伝えします。

食材備蓄のポイント

(1)食物アレルギー対応食や離乳食、嚥下困難(咀嚼や飲み込みが困難)のある場合の柔らか食など、すぐに入手しにくいものが備蓄できているか また、持ち出しやすい状態になっているか
(2)最低3日間程度の量は確保できているか
(3)ライフラインが止まっても食べられるか
(4)食器や食具(箸やスプーン、できれば持ち運び、使い捨てできるもの)、衛生用品(アルコールティッシュなどやラップ)も準備してあるか
(5)カセットコンロのガスボンベなどの数は十分か
(6)取り出しやすい場所に置いてあるか(奥まった場所は、震災時に取り出せない場合あり)
(7)備蓄品や場所は家族みんなが知っているか 家族誰でも利用することが可能か
(8)持ち出す場合、優先順位をつけてあるか(緊急時は全て持ち出せるわけでない)

水分・栄養補給に役立つ「トマトジュース」

私が推奨する備蓄食材は「トマトジュース」です。水分補給の目的だけでなく、災害時に不足しがちなビタミン、カリウムなどミネラルの補給、トマト味の調味料としても使用可能です。スープやカレーの水の代わりやトマト缶の代わり、スパゲティの味付けにも使えますし、缶のサイズも小さいため、1人暮らしや夫婦2人世帯にも使いやすく、ストックしておくにしても場所を取りません。

キッチンばさみ、常温保存の調味料も

また、キッチンばさみを一緒に準備しておくと大変役立ちます。袋を開けるだけでなく、食材のカットや菜箸代わりにもなり、栓抜きなどの調理器具としても使えます。自宅待機だけではなく、避難場所や屋外で調理することも想定して、常温保存できる調味料も準備しておくと良いでしょう。

「備えあれば憂いなし」と言われますが、緊急アラームが鳴る機会も増えています。パニックになると、人は冷静に判断ができなくなります。

備蓄食材を準備した人がケガをして、他の家族はその存在を知らずに利用できなかったとならないように、家族全員がそのありかを事前に知っておくことも重要です。念には念を入れて、平時に訓練をしておきましょう。

管理栄養士・今井久美