コーヒーは「がんを防ぐ」「認知症予防に効果がある」など、その機能性がよく話題になりますが、本当にそうなのでしょうか。様々な情報が交錯する中、現時点で明らかになっていることをわかりやすくお伝えします。

コーヒーの機能性

生豆と焙煎豆では含有率が変わりますが、コーヒーには多糖類、タンパク質、脂質などの栄養素や成分が含まれています。中でも機能性成分として有名なのがカフェインで、そのほかクロロゲン酸などのポリフェノール、酸性成分(キナ酸、クエン酸など)もあります。

それら機能性成分の効果は次の通りです。

認知機能の改善=カフェインには覚醒作用があるため、集中力や注意力を高め、脳の機能を改善する
抗酸化作用=クロロゲン酸などのポリフェノールには抗酸化作用があるため、老化や動脈硬化の予防する
代謝促進=カフェインやポリフェノールは脂肪を分解し、エネルギー代謝を促進する
消化促進=カフェインや酸性成分は腸の運動を促進し、便秘を改善する
糖尿病予防=クロロゲン酸は糖質代謝を改善し、糖尿病の発症を予防する

老化防止、生活習慣病予防、便通、ダイエット、美容などに効果があるといえます。

コーヒーはがんを予防する?

さらに、カフェインには抗炎症作用、抗酸化作用や細胞増殖抑制作用などがあるため、がんの予防や治療に役立つ可能性があります。カフェインを含むコーヒーの摂取が、肝臓がんや大腸がん、乳がん、子宮がん、前立腺がんなどのがんの発症リスクを減少させるという報告が複数あるのです。

しかし、カフェイン摂取ががん細胞の成長を抑制するという研究発表がある一方で、がんの進行を促進する可能性があるとする報告もあります。研究によっては摂取量や摂取方法、対象とするがんの種類などが異なるため、現時点では、コーヒーはがんを予防するとは言い切ることができません。がんに対するカフェインの効果についてはわからない部分も多いため、研究が進められています。

カフェインは認知症予防に有効?

また、カフェインには認知症のリスクを軽減する可能性があるとする研究も複数あります。カフェインは中枢神経系を刺激して脳の機能を改善しますし、炎症を抑制する作用があるため、認知症の原因となる炎症を減らすこともできます。従って、コーヒーは認知症予防に有効だといえます。

コーヒーのデメリット

ただし、コーヒーは摂取量によっては副作用が生じることもあります。カフェインによるもので、コーヒーのデメリットとして次のことが挙げられます。

睡眠障害=カフェインには覚醒作用があり、睡眠の妨げになることがある。特に夜遅くに飲むと、寝つきが悪くなる
胃腸のトラブル=酸性成分が胃腸に刺激を与え、腹痛や下痢などの原因になることがある。特に過剰な摂取や空腹時の飲用は胃腸に負担をかける
骨粗しょう症のリスク=カフェインはカルシウムの吸収を妨げ、骨粗しょう症のリスクを高めることがある
心臓の負担=カフェインには血圧を上昇させる作用があり、過剰摂取によって心拍数を上昇させ、心臓に負担をかけることもある
脱水のリスク=カフェインには利尿作用があり、アルコールと一緒に摂取すると脱水のリスクを高める

カフェインの感受性には個人差があり、日本人を含めアジアの人は遺伝的にカフェインを苦手な人が多いと報告されているので、少量でも不快感をもつ人もいるかもしれません。過剰に摂取すると、中毒症状を引き起こすこともあります。

カフェイン中毒の症状
不眠、不安感、興奮、手足の震え、筋肉の硬直、頭痛、めまい、嘔吐、下痢、心拍数の上昇、不整脈、血圧の上昇。重篤な場合には、けいれんや昏睡、死亡に至ることも。

カフェイン中毒にならないために

カフェインはコーヒーだけでなく、お茶や紅茶、サプリメント、風邪薬や酔い止め、ハイカカオチョコレートなどにも含まれています。特にエナジードリンクの多飲で死亡事例も報告されていますので注意が必要です。

カフェイン中毒を防ぐためには、適当量を守ることです。米国食品医薬品局(FDA)は、健康な大人では1 日のカフェイン摂取量は400mg(コーヒーなら4~5カップ)未満が望ましいとしていますが、カップの大きさやドリップの抽出方法、粉末のインスタントコーヒーの場合でも異なります。当然、個人差もあるため、自分にとって適切な摂取量を把握し、個人の体質や健康状態に合わせて摂取することが大切です。

また、世界保健機関(WHO)は、妊娠中や授乳中の女性は1日300mgを超えないように、コーヒーを1日3~4カップまでにすることを推奨しています。心臓疾患や高血圧などの病気を持っている人は、医師の指示に従うようにしましょう。

カフェインは競技パフォーマンスを上げる?

スポーツ界においても多くの研究で、カフェイン摂取が持久力、スピード、筋力、ジャンプ、投球などのパフォーマンスを高めることが示されています。ただ国際スポーツ栄養学会(ISSN)は2021年に見解を示し、「多くの研究でカフェイン摂取はスポーツパフォーマンスを高めることが示されているものの、カフェインがもたらす悪影響と同様にその効果には個人差があり、カフェインの代謝や身体的・心理的な反応に関連する遺伝的な変異、習慣的なカフェイン摂取などによる可能性がある」としています。

コーヒーやカフェインの効果は、まだまだ研究段階です。多くのメリットも期待したいところですが、くれぐれも過剰摂取にならないように注意が必要ですね。

参照=農林水産省 カフェインの過剰摂取について
https=//www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html

管理栄養士・今井久美