地球温暖化対策、サスティナブル、SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)といった言葉をよく聞くようになりました。少子高齢化で人口減少が危惧される日本ですが、世界では人口が増え続け、先日には80億人に達しました。

栄養不良の人口が緩やかに増加する一方で、肥満人口も世界中で急増し、このままだと2025年には5人に1人が肥満になる可能性があると指摘されています。また、将来的な食糧不足も懸念されています。

食糧は環境と自然資源に大きく依存

私たちの食糧生産は、世界の土地使用の48%、淡水使用の70%を占めています。環境省HPによると、1kgのトウモロコシを生産するには1800リットルの水が必要で、牛肉1kgを生産するには、その約2万倍(3600万リットル)もの水が必要だといいます。さらに、食糧を輸送するには燃料が必要です。つまり、食糧は環境と自然資源に依存しているのです。

この環境問題への対策と健康的な食生活を維持するために、私たちが日々できることは何かあるでしょうか。国連食糧農業機関(FAO)と世界保健期間(WHO)によって「持続可能な健康的な食事に関する指針」が出ているので、紹介します。

持続可能な健康的な食事に関する指針

全粒粉類、豆類、ナッツ類、および豊富で多様な果物と野菜を含む
適量の卵、乳製品、鶏肉と魚および少量の赤肉を含む
安全で清潔な飲料水を選択する
成長と発達に必要なエネルギーと栄養が十分で(必要量に達しても超過しない)ライフサイクルを通して活動的かつ健康的な生活に必要なニーズを満たす食事
食料生産における抗生物質及びホルモン剤の使用を最小限にする
食品包装に使用されるプラスチックとその派生物の使用を最小限にする
食品ロスと廃棄を減らす
地域の文化、料理習慣、知識と消費のパターンおよび食事の供給、生産および消費方法に関する価値観に基づきそれらを尊重する

この指針では、私たちが健康的に暮らすためにとるとよい食材の提示とともに、食品ロスや廃棄についても触れています。これにより、地球環境に負荷のかかる肉の生産量は減少する可能性があります。汚染水による魚への汚染物の蓄積も危惧されており、今後は魚や肉の価格が高騰するでしょう。現在、大豆ミートなどの代替肉や昆虫食が注目されているように、植物由来食品への移行が加速するかもしれません。

今、私たちができること7点

「食の転換期」を迎えた今、私たちができることとして7点挙げてみます。

(1)必要なエネルギー以上に過食しない
(2)食品ロスを減らす
(3)買い物時にエコバッグを持ち、過包装をやめる
(4)旬の食材を選ぶ
(5)献立に大豆製品(できるだけ国産大豆使用)を取り入れる
(6)地産地消を心がける
(7)郷土料理の知識を身につける

SDGsの工夫として挙げた項目ですが、値上げラッシュで節約志向になっている今を乗り切るポイントにもつながりますね。

日常生活で取り組めることは小さいことかもしれませんが、1人1人が意識して継続することで、大きな流れになっていくと思います。気候変動、台風の水害などで地球温暖化を実感することが多くなった今、ぜひできることから始めてみましょう。

管理栄養士・今井久美