「加齢臭」という言葉にドキッとした方はいませんか。中高年男女特有の枯れ草のような嫌な臭いで、特に後頭部、耳の後ろ、首の後ろや背中などに出やすいとされています。枕の臭いをかぐなどして、自分でチェックしている方もいるかもしれません。

加齢で抗酸化力が低下すると生成

臭いの成分は「ノネナール」という物質で、皮脂の中に存在するパルミトレイン酸が酸化することで発生します。40代以降、男女とも分泌が増えますが、男性の方が皮脂量が多く、ノネナールの分泌量も多いため、臭いが強くなる傾向があります。

ノネナールの量が40代以降に増加する理由は、加齢とともに抗酸化力が低下するため、生成されやすくなるからです。女性ホルモンには酸化を防ぐ抗酸化作用がありますが、女性ホルモンの分泌量が減少する40代から抗酸化力が低下することで、ノネナールの生成が増加します。

ただし、女性は40代以降、皮脂量も減少します。一方で、男性は60代くらいまで皮脂量が減らないために、加齢臭が強くなるのです。

また、女性の方が臭覚が敏感で、特に20代の若い女性は臭いを強く感じるそうです。女性は出産、育児で子どもを守るために、臭いに敏感になる必要があるためです。

食事でできる予防法

加齢臭を防ぐための制汗剤や洗剤、石鹸などデオドラント製品が販売されています。ここでは食事でできる予防法を紹介します。

皮脂の分泌を増やす油脂の多い食品を控える

脂の多い肉や、バター、生クリーム、チーズを使った洋菓子や菓子パン、揚げ物といった皮脂の分泌を増やす油脂の多い食品を食べ過ぎないようしましょう。

ビタミンA、C、Eやポリフェノールなど抗酸化成分を摂る

カボチャやブロッコリーといった緑黄色野菜、ビタミンCの多い野菜や果物、ビタミンEの多いゴマやナッツ、アボカドなど、抗酸化成分を含む食品を毎日とるようにしましょう。緑茶に含まれるタンニンやカテキンも効果があるとされています。

臭いの強い食品を避け、生活習慣や体調を整える

その他、体臭を強くする原因に、ニンニクなど臭いの強い食品を摂る、喫煙、睡眠不足、便秘による悪玉菌の増加などの体調不良、アルコール摂取、運動不足、日光に当たるなどが挙げられます。急激なダイエットによって生成するケトン体によるケトン臭や、腎機能低下によるアンモニア臭なども体臭を変える原因になります。

体臭は自分で気付かないこともあるので、家族などにも確認してみましょう。加齢臭で周囲に迷惑をかけないためにも、体調のバロメーターとしても自分の体臭をチェックする機会を作りましょう。

管理栄養士・今井久美