<健康診断の数値の見方>

血液検査の結果で、アスリートが最も気になるのが貧血の指標ではないでしょうか。一概に「貧血」と言っても種類や原因が異なります。その指標と結果の見方を説明します。

ヘモグロビン濃度(Hb)

血液中の酸素を運ぶ赤血球の中で中心的な働きをしているのがヘモグロビン(Hb)で、鉄を含むタンパク質です。Hbが低くなると、酸素が十分に体に行き渡らず酸欠の状態になり、めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気など様々な症状が現れます。これが貧血という診断になります。

国内で、貧血と診断される統一の基準値はなく、検査施設によって多少異なりますが、15歳以上の男子14g/dL未満、女子では12g/dL未満となると貧血といえます。ちなみに、生後6カ月~4歳では11g/dL未満、5歳~11歳では11.5g/dL未満、12歳~14歳では12g/dL未満が貧血の指標です。アスリートの場合、もう少し数値を高めに設定されることもあります。

ヘマトクリット値

血液中に占める血球の体積の割合を示す数値です。血球成分には白血球や血小板も含まれていますが、ほとんどが赤血球のため、低い場合、貧血が疑われます。15歳以上の男子は36.4%、女子では35%が下限値とされています(国立成育医療研究センター、小児臨床検査基準値から)。

MCV、MCH、MCHC

平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)、平均赤血球色素濃度(MCHC)は赤血球の大きさや色素濃度が分かる貧血の種類の指標です。赤血球の大きさが基準より大きい「大球性貧血」の場合、ビタミンB12や葉酸欠乏性貧血が疑われます。大きさが小さく色素が低い「小球性低色素性貧血」の場合、鉄欠乏性貧血が、大きさも色素も基準内の場合、溶血(赤血球が壊れる)性貧血や再生不良(赤血球を作る機能低下)性貧血が疑われます。

血清鉄(Fe)

通常、鉄は血清の中ではトランスフェリン(Tf)というタンパク質と結合して運搬され、Feは血液中の鉄の量を表すものです。体全体の鉄の量ではありません。低下すると鉄不足の可能性が高いということになります。

フェリチン

鉄を貯蔵するタンパク質で、肝臓などの細胞中に貯蔵されています。体の中の鉄の貯蔵量の指標です。

ヘモグロビン濃度が基準値内でもフェリチンが低下している場合は、貧血予備軍です。フェリチンが高いのにヘモグロビン濃度が低い場合は、エネルギー不足が原因の貧血ですので、鉄の摂取よりも摂取エネルギーを増やすことを心がけましょう。

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