<健康診断の数値の見方>

筋肉量を評価する方法として、体脂肪率など体組成から算出するほかに血液検査から計る方法があります。まずは、クレアチニンの数値を見る方法です。

血中クレアチニン値

クレアチニンとは、筋肉を使うための重要なエネルギー源「クレアチンリン酸」という物質が代謝された後にできる老廃物で、尿として排出されます。筋肉で合成され、筋肉の量に比例するため、筋肉量が多い人は高く、少ない人は低くなります。

一般に女性より男性の方が10~20%高い値になります。年齢による変動はほとんどありません(高齢者では加齢とともに腎臓の機能が低下しますが、筋肉量も減少するため、ほぼ一定になります)。

基準値(検査方法や施設によって異なる)
男性=0.5~1.1mg/dl
女性=0.4~0.8mg/dl

筋ジストロフィー症など、筋肉の萎縮する病気があるときは低値になります。一方、腎臓で排泄されるので腎臓の機能が低下すると高値になります。人間ドックや健康診断では腎機能をチェックする項目として、血中のクレアチニン値の検査はポピュラーな項目です。

筋肉に多量に存在する酵素

CK(クレアチンキナーゼ)、またはCPK(クレアチンフォスフォキナーゼ)から見ることもできます。CK(CPK)は骨格筋や心筋などに多量に存在する酵素で、筋肉細胞のエネルギー代謝に必要です。筋肉量と比例するため、筋肉量が多い人は高く、少ない人は低くなります。一般に女性より男性の方が20~30%高く、加齢とともに低くなります。

骨格筋や心臓、脳、甲状腺の病気で高くなることがありますが、激しい運動やこむら返り、筋肉注射、外科手術後など筋肉の損傷でも上昇することもあります。

基準値(検査方法や施設によって異なる)
男性=60~270 IU/L
女性=40~150 IU/L

アスリートの場合、トレーニングによって高値になる場合があります。筋肉痛があるような場合は一時的に10000IU/Lを超えることもありますが、常時350IU/L以上になるとトレーニング過剰の可能性があるので、内容を見直し、専門医に相談するのが良いでしょう。

※参考「アスリートのための分子栄養学」

管理栄養士・今井久美