アスリートの中でも力士は縦にも横にも大きい印象だが、中には細身で筋肉質な体形を維持している力士もいる。大相撲春場所で2大関を破って10勝5敗の好成績を収め、自身初の技能賞を獲得した平幕の若隆景(26=荒汐)もその1人。幕内42人の平均体重が160キロを超える中で、182センチ、127キロの体で上位陣を相手に戦っている。「食が細い」という若隆景から、幼少期からの食生活について話を聞いた。

部屋でちゃんこを食べる若隆景(荒汐部屋提供)

祖父は元小結若葉山、父は元幕下若信夫、兄は幕下若隆元、十両若元春という相撲一家で生まれた。3兄弟の中で食が細かったのが、長男の若隆元と三男の若隆景。小1で相撲を始めた若隆景は、元若信夫の父政志さんから「とにかくたくさん食べなさい」と常日頃から言われていたという。実家は福島市でちゃんこ料理店「若葉山」を経営。「(食事の環境で)困ったことはありませんでした」。肉、魚、野菜…新鮮な料理を食べて、地道に体を大きくしてきた。

若隆景の実家が経営する料理店「若葉山」で提供されるちゃんこ鍋。若隆景ら3兄弟も帰省した際に食べる(荒汐部屋提供)

最も増量に苦戦したのは大学時代だったという。13年に地元の学法福島高から東洋大に進学。当時の体重は90キロほどだった。「今までは実家から通っていたけど、大学から初めての寮生活でした。自分は周りと比べても特に細かったので、体重管理の面で努力するように監督やコーチにはよく言われましたね。帰省するときに『(やみくもに)体重増やして帰ってくるなよ』とか『大きくなったらもっと相撲の幅も広がる、もっと強くなるぞ』と。栄養面を特に気にしたわけじゃありませんが、コンビニで間食用のものを買ったりして、とにかく食べました」。大学時代の食事は朝昼晩。夜は相撲部の道場にブルーシートを敷き、ちゃんこをみんなで囲んだ。

部屋でちゃんこを食べる若隆景(荒汐部屋提供)

大学卒業後の17年3月に角界入りし、兄2人と同じ荒汐部屋に入門。プロ入り後も「油断したらすぐに落ちやすいところもあるので」と、体重管理には気を配る。大きかったのは、大学時代から交際し18年に結婚した夫人のサポート。「場所中の夜は肉も魚も野菜も、毎日バランスよく食べています。1人だったらそこまでバランスよくは食べていないかもしれない」と感謝した。

年内の目標は、祖父の最高位と並ぶ新三役昇進。春場所時点で130キロ弱だった体重については「今までみたいに増やそうという意識はそこまでないけど、もうちょっとは欲しい。(相撲での)圧力にも関わるので」と若隆景。心技体の充実に努め、さらなる飛躍を目指す。【佐藤礼征】