アスリートが減量をすると、身体の不調をきたすことがあります。減量した理由を聞くと、「自主的に減量をした」ということだけではなく、「指導者から体重を指定された、体脂肪率を落とすように言われた」など、指導者側から指示されたケースも少なくありません。

無理な減量はコンディションを落とすだけではなく、身体と心の健康を害することにもつながります。今回は、減量を考えたときに押さえておきたいポイントについてお伝えします。

減量をする場合、抑えておきたいポイント

1、減量にもデメリットがある、自分自身で考える

指導者から減量を指示される場合、自分にとって本当に減量が有益なのか客観的に考えてみましょう。体の重さの内訳は、体脂肪だけではなく、筋肉や内臓や骨、水分などがあり、その合計が体重です。減量で体脂肪は落ちるかもしれませんが、本来残したい筋肉も落とすかもしれません。

特に身長の伸びが目覚ましい小学生、中学生年代で行うと、成長が遅れたり止まってしまったりするかもしれないので、原則として食事制限などの減量はお勧めしません。その時期に数年間、減量を行うと、低エネルギー状態が長く続くことになり、骨密度が上がらず、骨がもろくなる可能性もあります。貧血や無月経などの原因にもなります。

このようにデメリットがあることを念頭に、減量をするかどうか、減量するならどの方法にするかを考えましょう。保護者の方に相談できる場合は、協力を仰いでください。

2、減量の期間、目標体重や体脂肪の設定

減量する場合も、実施期間と目標体重を無理なく設定する必要があります。体脂肪率やBMIなどで体格指数を確認し、やせに当てはまらない体重に設定することが基本です。やせになる体重を目指す場合は、慎重に考えなければなりません。

体脂肪が15%では約半分が、10%以下ではほどんとの人が無月経になるとされています。BMIは18.5を切らないことが基本となります。まずは自分の今の体重、めざす体重を計算して確認しましょう。

そもそもやせる必要がない場合もあると思います。体脂肪を落としたいなら、「筋肉量をアップするために筋トレを入れる」「お菓子をやめる、油物を控える」など、食事量は落とさず、食べ方を見直すことも一つです。

3、減量中に不調を感じたらストップ

減量を始めて身体に不調をきたしたら、計画を見直しましょう。練習ができないような状況であれば、目標体重に達する前にやめることも考えましょう。

疲労が抜けない、授業中に居眠りをしてしまう、充実した練習ができないなど、コンディションが落ちているときは、減量の方法があっていないことが予想されます。また、立ちくらみなどの貧血症状や月経が止まったらストップしましょう。

食事量を減らすことで、脱水傾向にもなりやすくなるので汗をかく季節は特に要注意です。減量中は便秘になったり、寝つきが悪くなったり、色々な不調が出やすくなります。そうなったら、いったん立ち止まって方法を見直してみましょう。

無理な減量はリバウンドやメンタル不調の原因に

アスリートの減量は、身体の動きが良くなることを期待して行うものです。日々のコンディションや競技のパフォーマンスを確認しながら行い、体調が悪くなったらやり方が間違っているということです。

むやみやたらにエネルギー源となる炭水化物(糖質)や脂質を減らすのはよくありません。無理な減量はリバウンドを招きます。メンタルの不調も引き起こすことが多いので、必要性も含めて慎重に考えていきましょう。

今回紹介するレシピは「卵とベーコンの彩りサラダ」です。野菜の摂取量を多くする際にも、必要なタンパク質や脂質が摂れると栄養素のバランスがよくなります。

このレシピでは、卵、ベーコン、チーズをのせていますが、ご自宅にある野菜に好みのトッピングでアレンジして、おいしく栄養補給をしていきましょう!

女子アスリート/管理栄養士・上木明子