前回のコラムで、「女性アスリートの三主徴(Female Athlete Traid:FAT)」の1つ、「利用できるエネルギーの不足」はどういうことなのかをお話ししましたが、チェック項目で当てはまることはありませんでしたか? 利用できるエネルギーが不足していても、すぐに競技に影響するわけではありません。しかし、長期的に続けば、パフォーマンスの低下や競技の継続が危ぶまれる故障につながる可能性があります。利用できるエネルギーは、きちんとした知識があれば、不足しないよう予防と改善ができます。

「食事から得られるエネルギー」を正しく使う

利用できるエネルギーは、食事から得る必要があります。その「食事から得られるエネルギー」は通常、まず「生きるため・生活する」ために、次に「発育・発達する」ために使います。そして、残ったエネルギーで「運動」をすることになります。

しかし、間違った考え方では、「運動」で使うエネルギーの割合が大きくなり、「発育・発達のため」に使うエネルギーが少なくなります。このような状態になると、日中の眠気や疲労を強く感じたり、「身長が伸びない」「体重が増えない」「初経がない」など様々な問題が起きることになります。

「生きる・生活する」「発育・発達」「運動」。これらすべてを問題なく行うためには、「食事から得られるエネルギー」を正しく使わなければなりません。その方法は、「食事から得られるエネルギーを増やす(使えるエネルギーを増やす)」、もしくは「使うエネルギーを減らす」のどちからしかないのです。

食べる量を増やし、使える分を確保する

食事から得られるエネルギーを増やすということは、ズバリ、「食べる量を増やす」ということです。「たくさん食べています」「結構食べています」と言う選手がたくさんいますが、実際に食事の内容や量を聞き取りしてエネルギー摂取量を計算すると、不足しているケースがほとんどです。今の運動量に対して必要なエネルギー量を示すと、「こんなに必要なの?」「こんなに食べないといけないの?」の驚く選手がいます。

必要なエネルギーを適切に摂取するには、食事量を増やして、食事から得られるエネルギーを増やさなくてはいけません。朝は余裕をもって朝ご飯を食べ、学校の給食や弁当も残さず、練習前後に補食を摂り、夕食もきちんと食べることが必要なのです。

1回の食事量が増やせない選手は、補食を含む食事の回数を増やす方法が有効です。食事量が増やせない選手には、油など高エネルギーの食品を選んで食べる方法もあります。

運動で消費するエネルギーを減らす

食事から得られるエネルギーが増やせないのであれば、運動で消費するエネルギーを減らすことを考えます。競技や時間・頻度によって運動で消費するエネルギーは異なりますが、運動後は夕食も食べずに寝てしまうほどの運動はしてはいけません。「高校生までは1週間の運動時間が年齢を超えてはいけない」と記載されている論文があるほどです。

適度な運動は骨格の発達にプラスの効果がありますが、過度な運動は骨格の成熟と、初経など思春期発達が遅れるともいわれています。1回30分、週4日の運動をやめたら、身長も体重も増え、息切れなどの不定愁訴が軽くなった選手もいるのです。

OFFの日を作りエネルギーを貯金する

また、1週間のうち、運動をしない「完全OFF」の日も必要です。運動をしない日があれば、体も回復しますし、運動している日と同じように食べれば、エネルギーの貯金もできます。

必要量を食べず、ほとんどOFFがなくても、ケガもなく高いパフォーマンスが保てる選手がいますが、そんな選手はまれです。逆に驚くほど食べていて、週1~2回しか運動していなくても不定愁訴が現れる選手もいます。選手1人1人、食事量も運動量も違うため、選手自身が自分で調整できる能力を身につけることが重要なのです。利用できるエネルギーの不足を予防・改善し、常によいコンディションを保って、大会で最高のパフォーマンスが発揮できることを願っています。

今回、紹介するのは「カボチャとサツマイモのメープルサラダ」です。カボチャの旬は夏ですが、冬至に食べるのは有名です。

なぜ、夏の食材を冬に食べるのか…というと、昔は今ほど生産技術や保存技術が発達していませんから、食べ物が旬の時に食べるのが当たり前でした。しかし、カボチャは長く保存が出来たので、保存しておいて食料の少ない冬に食べていました。また、収穫してすぐに食べるより、寝かせておいた方が「栄養価」が増えると言われているため、風邪の予防や免疫力アップのために冬に食べるようになったそうです。

カボチャは糖質とエネルギー多め

カボチャは野菜の中でも糖質が多めで、比較的エネルギーもあります。エネルギーと糖質のある食材を小鉢などに用いると、量を増やすことなく、エネルギーアップが図れます。クリームチーズとメープルシロップを混ぜ込むことで、お菓子っぽくなるため、間食や補食としても食べやすいと思います。

女子アスリート/管理栄養士・佐藤郁子