<テニス:全米オープン>◇12日(日本時間13日)◇ニューヨーク◇女子シングルス決勝

大坂なおみ(22=日清食品)が2年ぶり2度目の女王に輝いた。大坂を支える現在の「チームなおみ」で最も長く大坂のそばに寄り添い、体のケアをしてきたのが、茂木奈津子トレーナーだ。18年から専属となり、大坂が公私両面で最も信頼を寄せ「なっちゃん」と呼ばれている。その茂木トレーナーが、日刊スポーツの電話インタビューで、大坂の心身の成長ぶりについて語った。【取材・構成=吉松忠弘】

茂木さんは、アスレチックトレーナーで、同じチームなおみの中村豊氏が体を鍛える側なら、茂木さんは体をケアする役目を担う。けが予防のため、試合前のウオーミングアップ、試合後のクールダウンやマッサージから、試合中の水分補給の準備など、多岐にわたってサポートする。

17年のウィンブルドンで、日本テニス協会派遣のトレーナーとして初めて大坂を担当。18年3月から専属契約を結んだ。その直後の米カリフォルニアの大会でツアー初優勝を飾った。

茂木 当時は、まだ体のケアやトレーニングの重要性に、それほど気づいてなかったと思います。どうすれば体が動いて、どうすればけがをしないかといった内容が分かってなかった。自分からトレーニングについて話すことは、あまりありませんでした。

しかし、それでも18年全米で優勝した。経験を積み、腹筋を痛めたことなどで、体について自覚することが多くなった。今では、自らトレーニングについて話すことも多いという。

茂木 こういうところを鍛えたい、こういうトレーニングがしたいと話すようになったと思います。体のことを考えることが、どれだけテニスにとって大事なのかを認識し、自分から要望するようになりました。今では、本当に体が絞れて、すっかりアスリートの体になりました。

大坂はもともと内向的な性格で人見知り。口数も多い方ではなかった。

茂木 昔は、チームの中でさえ、ほとんど話さない、本当におとなしくて控えめでシャイでした。でも、今ははっきりと自分の意見を話し、自分の考えをオープンにします。口幅ったいですが、少女から大人になったと感じています。

大坂なおみ(2020年1月撮影)

今回、全米前哨戦ウエスタン・アンド・サザン・オープンの少し前に米国入りした。そこで、久しぶりに対面した大坂は、さらに成長していた。

茂木 自粛期間を経て、本当に精神的に強くなったなと感じてます。前は、コート外ではしっかりしていても、コートに入ると弱さが見えたのですが、今回は、それがなくなりました。取り組む姿勢が、全く変わったような気がします。

茂木さんは、小さい頃に、英国に住んでいた経験があり、英語も堪能。同じ女性として、お姉さん的な存在でもある。

茂木 いろいろな話を、日本語や英語でします。時と場合によって、自然と言葉は使い分けている感じです。話の内容? 相談とかではないですよ。まあ、それは内緒ということで(笑い)。

前哨戦で痛めた左太ももには、2回戦から決勝までテーピングが施されていた。しかし、大坂は1度も試合中に大会トレーナーを呼ばず、痛がるそぶりを見せることもなく、優勝にひた走った。それこそが茂木トレーナーの真骨頂だった。

茂木奈津子(もぎ・なつこ) 東京都生まれ。慶大では体育会庭球部に所属。01年に卒業、慶応女子高時代に膝をけがしたことでスポーツ医学に興味を持ち、トレーナーを目指し花田学園で鍼灸(しんきゅう)あんまマッサージ指圧の資格取得。同校在学中に日本協会の仕事を始め、代表トレーナーとしてユニバや国別対抗戦に携わる。18年3月から現職。