「変化」と「継承」の両輪で「アフターコロナ」の難局を制する。7月4日のJ1再開(6月27日にJ2は再開、J3は開幕)に向け、川崎フロンターレが2日、川崎市内で全体練習を再開させた。

報道陣にのみ公開された練習では給水ボトルを業務用バケツに入れて各自が持ち歩く「マイバケツ」制度を取り入れるなど、新型コロナウイルスの感染拡大防止へ新スタイルを導入。その一方で、持ち味の攻撃的なサッカーを貫いての「リーグ制覇」の目標をあらためて確認した。

給水用のマイボトルが入ったバケツ状の容器を持参して練習を行う川崎Fの選手たち(C)KAWASAKIFRONTALE

見たことのない光景が広がっていた。新型コロナの影響で3月下旬からの中断をへて迎えた全体練習の再開日。グラウンドに続く階段を駆け降りる選手の手には、背番号が記された「バケツ」が握られていた。感染防止のため、共用だった給水ボトルは各自で管理。氷水で冷やされたボトル入りのマイバケツを手に移動しながら約2時間、川崎Fが再スタートを切った。

これからは「アフターコロナ」への対応が求められる。5月下旬からグループ練習を再開。全員が顔をそろえたこの日は、練習前のミーティングをピッチ上で実施。マスク着用は選手が各自判断で、スタッフは原則着用。食堂は人数を制限し、ビュッフェではなく各自に提供する方式に変更し、対面での食事を禁じるなど随所に工夫を施した。

環境の変化を、選手も十分理解して受け入れている。FW小林悠は「バケツを忘れて上まで取りに行って大変だった」と笑いつつ「(マイボトル持参は)学生の頃とかは自分でやっていたことなので気にはならなかった」と代弁。その時々でできることを丁寧につむぎながらチーム力を高めていく方針を共有している。

川崎Fの選手たちが練習で持参した、冷えた給水用のペットボトルを入れた「マイバケツ」(右)(C)KAWASAKIFRONTALE

築きあげてきた“川崎Fらしさ”は変えない。攻撃的スタイルを進化させるべく今季は「4-3-3」の新システムで船出したが、新型ウイルスにより時が止まった。緊急事態宣言が長引き再始動も遅れた。だが鬼木達監督は「リーグ全体を盛り上げていこうと。攻撃的なところは皆さんが一番期待しているところなので応えていきたい」と恨み言はなし。FW小林も「言い訳できる要素がいっぱいあるシーズン。志の強いチームが優勝する。言い訳させない雰囲気にしないといけない」と頼もしい言葉で結んだ。過密日程、降格なし、交代枠増案など異例ずくめの未知なるシーズンを、柔軟さと力強さで駆け上がっていく。【浜本卓也】

(2020年6月2日、ニッカンスポーツ・コム掲載)