昨季限りで現役を引退した日本ハム田中賢介スペシャルアドバイザー(SA、38)が18日、札幌市内に私立小学校を設立する計画を明かした。豊平区西岡に設置予定で、22年開校を目標に自身を理事長とした学校法人を道に提示。学校法人立命館(京都市)と連携を図るため協議を進めている。年内にも、道に設立計画を正式に申請予定。教育の現場で、第2の人生を歩み出す。

小学校開校プランを発表した日本ハム田中賢介スペシャルアドバイザー(撮影・田中彩友美)
小学校開校プランを発表した日本ハム田中賢介スペシャルアドバイザー(撮影・田中彩友美)

教育者として、第2の人生が幕を開ける。田中氏が、かねての夢であった「小学校開校プラン」を打ち明けた。「これまで、たくさんの方々に応援して頂きまして、20年間という長い間プロ野球選手をさせてもらいました。その中で、何か北海道に恩返ししたいという思いがずっとあった」。現役終盤の約3年前に芽生えた思いは、昨季現役引退後に本格的に動きだした。

地方自治体と手を結び、北海道全体で子どもたちを育てていく構想を持つ。「最初に必ずやりたいことが一つあって」と切り出したのは、少子化が進む道内地方の小学校とオンラインを通じた合同授業。減り続ける児童数を憂いながら「地方は地方で、すごくいいところがたくさんある。人事交流だとか、お互いの子どもたちにとって、すごく良い環境をつくっていきたい」と思いをはせた。

2人の男の子の父で、自他共に認める子ども好き。「自分の子どもが生まれて、教育に興味がわきましたし、すごく幼少期が大切なんだなとあらためて思いました」と、きっかけをもらった。小学校のコンセプトは「世界に挑戦する12歳」。13年にメジャー挑戦で米国暮らしを経験し「日本ではミスをしたら『どんまい』と慰められるけど、欧米では『ナイストライ』と認めてくれる。挑戦することを認めてあげて、それを伸ばしてあげられるような学校にしたい」とビジョンを明かした。

日本ハム田中SAが開校を予定している札幌西岡中央公園に隣接している施設(撮影・黒川智章)
日本ハム田中SAが開校を予定している札幌西岡中央公園に隣接している施設(撮影・黒川智章)

自らの子どもを入学させたいと思える学校づくりを目指して、今後はカリキュラム作成や教員採用等を中心に関わっていく。定員は1学年2学級50人で計300人の計画。資金は現役時代からの貯蓄を基本に、社会貢献活動の一環として進めていく。「野球も学校も、これまで以上に忙しくなると思いますけど、両方とも全力で頑張っていきたいと思います」。前夜は緊張で、眠れない時を過ごした。野球と教育という二刀流への挑戦。初々しさをまとい、新たな夢を追い始めた。【田中彩友美】

○…小学校の教員免許を持つ栗山監督が、田中SAにエールを送った。チームを代表して、バックアップを約束。「よくここまで頑張って持っていったなと感じる。本当にこれからの時代、次の世代を育てることが1番。北海道にとって大切なものになるように本当に頑張って欲しい」と願った。この日は、札幌市内でのグルーブ練習を見守った。

◆田中賢介SAと子供 田中賢介SAは現役時代から子供たちと積極的に交流を行っていた。07年にはダルビッシュや稲葉(現侍ジャパン監督)らと北大病院を訪問して、入院中の子供たちとふれあった。10年には札幌市内の小学校を訪問している。引退記念グッズでは自分が使用していたグラブと同じモデルのキッズ用と子供用の2種類を販売。特にキッズ用はプロと同じ本革仕様でありながら破格の価格にするためにメーカーと交渉して実現している。野球選手として常に、将来を担う世代への思いと愛情は深かった。

◆田中賢介(たなか・けんすけ)1981年(昭56)5月20日生まれ、福岡県出身。東福岡から99年ドラフト2位で日本ハム入団し、俊足巧打の内野手として活躍。12年オフに米球界入りを表明し渡米。15年日本ハムに復帰し、現役引退後の今年、球団SA就任。NPB通算18年で1499安打、486打点、48本塁打、打率2割8分2厘、179犠打、203盗塁。ベストナイン6度はパ・リーグ二塁手で最多。現役時代は176センチ、78キロ、右投げ左打ち。

(2020年5月18日、ニッカンスポーツ・コム掲載)