<ラグビー流 Education(17)>

ラグビー元日本代表の今泉清氏(52)はシリーズの締めくくりに、ジュニア世代の将来について、1人1人の個性や強みを育てる重要性を語っています。子どもたちの“未来予想図”の参考になるでしょう。

自分だけの「強み」見つけて

今年のラグビー日本代表の姿は、将来へのメッセージだと思います。7カ国の出身者が「ONE TEAM」になって歴史的な戦いをし、「多様性」「グローバル化」を体現した。根底には互いに認め合い、尊重し合う心がありました。

南アフリカ戦に敗れ、W杯が終わり記念撮影する日本代表。7カ国の出身者が「ONE TEAM」となり「多様性」と「グローバル化」を体現した

将来は会社の中で会議をして、社員だけで企画を進めることは減るでしょう。プロジェクトに対してSNSで発信し、それに応じた能力がある人を集め、パソコン上で作業が進む形もある。当然、社外、海外の人も加わってくる。いわゆる「島国根性」では限界があるはずです。人も、企業も自らの「強み」「らしさ」を持たないと、生き残れないかもしれません。

だからジュニア世代には「自分らしさ」をつくってほしい。それを見つけるためにも、大人にはいろんなことにチャレンジできる環境を整えてほしい。私は小学生の時にラグビーだけでなく、サッカーもやっていた。早大ではそのキック力を認められ、キッカーに指名された。1つの競技だけでなくさまざまなスポーツに挑戦してほしいし、音楽でもアニメの知識でもいいから、「これだけは誰にも負けない」と思えるものを探してほしいですね。

今泉清氏

例えば、日本の産業で私が「らしさ」を感じるのは「細かさ」。ミリ単位にこだわる職人技のようなものです。これは日本の「強み」だし、いつまでも残してほしいと思います。

また、デジタル機器やAI(人工知能)に人間の仕事が奪われるという話もあります。それを恐れるのではなく、発想を変えて「煩雑なものはAIに任せ、それで生まれた自分の時間をどう使うか」と考えてはどうでしょうか。自分の個性や強みを伸ばす時間に使ってはどうでしょうか。

人と会ったり、旅に出るのもいいと思います。百聞は一見にしかず。テレビで見た街でも、実際に行ってみれば新たな出会いや発見がたくさんある。人だって会ってみれば、ネットの評判と大違いな場合がある。デジタルやAIが発展しても、「またあの人に会いたい。一緒に仕事をしたい」という“アナログ”な人のつながりは、大きな強みになると思います。

◆今泉清(いまいずみ・きよし)1967年(昭42)生まれ、大分市出身。6歳でラグビーを始め、大分舞鶴高から早大に進み、主にFBとしてプレースキックなどで大学選手権2回優勝、87年度日本選手権優勝に貢献。ニュージーランド留学後、サントリー入り。95年W杯日本代表、キャップ8。01年に引退した後は早大などの指導、日刊スポーツなどでの評論・解説、講演など幅広く活躍。

(2019年12月29日、ニッカンスポーツ・コム掲載)