パリオリンピックの開幕が近づき、ちょうど10年前、東京オリンピック開催が決まってワクワクした時のことを思い出します。当時、私はまだ学生だったことを考えると、この10年でライフステージに大きな変化がありました。年齢を重ねることで女性は心も体も大きく変化することを、身を持って感じています。

出産と妊娠、どう選択するか

少し前に、アイスダンスの小松原美里選手が「卵子凍結」という選択をしたことがニュースになりました。現役女性アスリートは妊娠出産を考える上でどうしてもキャリアを中断せざるを得ません。産後は体型や体の感覚が変わってしまうことも多く、競技レベルを維持することが難しくなるケースもあります。

また、引退後に不妊治療を経て子どもを授かったことを公表する方もいます。さまざまな技術が進歩して女性としての選択肢が増えた現代ですが、それによって身体や生殖の仕組みだけでなく、ジェンダー平等や性の多様性、人生の幸福など幅広いテーマを含んだ「性教育」の重要性がさらに浮き彫りになっています。

女性らしい体型になる思春期と食生活

第二次性徴を迎える思春期は心身ともにとても難しい時期です。特に女性アスリートの場合は女性らしい体型に変化することで少なからず競技に影響が出ます。

これは将来、妊娠・出産するための大切な準備ですが、競技に真剣に打ち込んでいればいるほど先のことよりも今の結果にこだわり、過度なダイエットや食事制限を行い、周囲もまたそれをよしとする風潮が未だに見られます。大切なのは目先の変化に一喜一憂するのではなく、長い視点を持つことです。

食事においては次の2点が非常に重要です。

・炭水化物抜き、脂質抜きなど特定の栄養素を極端に制限しない
・半年、1年といった長期でのコンディショニング計画を立てる

どんな食材も栄養素も、摂りすぎや過度な制限は体にとってよくありません。思春期を迎えるアスリートは、本人はもちろん周りの大人も含め、人生の中でもとても大切な時期を迎えていることを理解しておきたいですね。

今回紹介するレシピは「メカジキの酢豚風」です。豚肉を使うよりも脂質を抑えることができ、タンパク質量をしっかり確保できる一皿です。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・川口郁子